賃上げで考慮したこと(複数回答)

賃上げ状況

 佐賀新聞社が県内の主要企業に実施した「賃上げ状況アンケート」によると、2016年度に入って「賃上げを実施した」と答えた企業は8割に達した。大手企業の積極採用が続く中、慢性的に人手不足を感じているところも多く、人材確保や定着率向上のため待遇改善に踏み切らざるを得ない状況が浮かび上がっている。

【賃上げの内容】

 賃上げに踏み切った県内企業は全体の80.0%で、製造業85.7%、非製造業76.9%。業種別では、電子・電気、食品製造、酒造、大型店のすべての企業が実施したと回答している。

 賃上げの内容(複数回答)は、「定昇、ベア」が37.2%で最も多く、「定昇のみ」34.6%、「ベアのみ」14.1%、「ボーナスのみ」12.8%の順。「初任給の引き上げ」「期末手当など」はそれぞれ3.8%にとどまった。

 従業員平均の基本給引き上げ額(月給、複数回答)は「2千円~3千円未満」「3千円~4千円未満」がそれぞれ26.1%で最多。「4千円~5千円未満」が11.6%、「5千円~6千円未満」が8.7%となっている。

 基本給を4千円引き上げたという工作機械メーカーの経営者は「受注競争が激化し、売り上げは上がっていないが、若手にやる気を出してもらうためにやむを得ない」と語る。

【賃上げの理由】

 賃上げ決定で考慮したこと(複数回答)は「業績」が70.9%と最多。「人材確保・定着率向上」45.6%、「雇用の維持安定」36.7%と続く。卸売、運輸通信、建設業の7割以上が人材確保を理由に挙げている。

 一方、賃上げに踏み切れなかった理由(複数回答)で最も多かったのは「利益の確保」の52.4%。「売り上げ不振」「経済、景気の動向」がそれぞれ42.9%で、「先行き不安」33.3%と続いている。

【経営側の声】

 「前年に初任給を引き上げており、景気動向を考えるとこれ以上は難しい」(金融機関)、「住居手当の拡充を検討しているが、人件費高騰が経営課題になってきている」(IT)。経営側の声からは、待遇改善に苦慮している状況がうかがえる。

 3年前、資料請求が千人を超えていたという電子部品メーカーは「今年は6割の大幅減で400人。定昇、ベアとも上げたのに…」と肩を落とす。

 「大学生の応募がないので高校生採用中心にした」(ホテル)、「新卒は難しいから中途採用に切り替えた」(工作機械メーカー)といった声も。

 インターンシップでの人材囲い込み、異業種連携を模索する企業も。タクシー会社の担当者は「トラック業界と合同で人手を確保できないか検討している」と話す。

=調査概要=

 7月中旬から8月初旬にかけて、県内に事業所を置く200社を対象に実施。100社(50.0%)が回答した。

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