戦後最大の贋作(がんさく)スキャンダルとされるのが、昭和30年代半ばに起きた「永仁(えいにん)の壺(つぼ)」事件である。古瀬戸の傑作として国重要文化財に指定されたのは、鎌倉時代の「永仁二年」(1294年)の銘を持つ壺◆戦時中に発掘されたこの壺は、それまでの古瀬戸の最古品を18年も遡(さかのぼ)るものだった。しかし、その指定直後から贋作疑惑が浮上し、昭和の名工・加藤唐九郎が自作だと衝撃の告白をした。重文指定にかかわった陶磁研究者の小山冨士夫は引責辞任する騒ぎに◆美術品の贋作は人類の歴史に付いて回り、枚挙にいとまがないが、こちらの偽造の悪質さはあきれるほどだ。出るわ出るわ。富山市議会で政務活動費の不正請求が次々発覚した。もらった領収証に一ケタ書き足した、白紙のものに自由な金額を入れた、はたまたパソコンで腕を振るった強者も◆ついに9人が看板を下ろし、補欠選挙が行われることになった。言わずもがなだが、政活費の元手は税金である。富山市議会では、月額60万円の議員報酬を70万円に上げたばかり。市民は怒り沸騰、開いた口がふさがらない◆永仁の壺事件は告白があっても、作者に唐九郎の周辺の名が上がるなど謎が多い。富山の件もこの騒動で膿(うみ)は出し切ったのか。他県にも巣くう所はないのか。居心地の悪い議員さんがおられるやもしれない。(章)

このエントリーをはてなブックマークに追加