日本の動物文学の第一人者で、「日本のシートン」と呼ばれたのが佐賀市出身の作家、故・戸川幸夫である。動物好きで、東京の自宅庭に檻(おり)を置き、いろんな種を飼い観察をしていた◆猟師と付き合いがあったため、親とはぐれた子ギツネや、冬になると毛色が白に変わるテンのほか、発見にかかわったイリオモテヤマネコも、国から委託されて2年半ほど庭で飼っている。都会で野生動物を飼うなんて今では考えられないが、犬は多い時は10匹以上も庭に放し飼いにしていた(『作家の犬2』平凡社)◆こんな形で飼い主と共に暮らす動物もいれば、路頭に迷うペットもいる。熊本地震の混乱で飼い主とはぐれるなどして熊本県が保護した犬や猫は1600匹以上。数が増えて施設での保護が難しくなり、知事自らペットとしての受け入れ協力を全国に呼び掛けた◆今月16日現在、元の飼い主に返還できたのが198匹、新たな飼い主が見つかったのが832匹。生まれてまもなく死亡した子犬、子猫もいたが、まだ342匹が収容されている。問い合わせは多く、受け入れ先は遠く東京までと幅広い◆人にも動物にも同じ目を向けた戸川のように、犬や猫たちの命を救うのも、被災地支援になろう。末永く慈しんでくれる新たな飼い主を動物たちが待っている。折しも動物愛護週間中である。(章)

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