県介護支援専門員協議会・藤佐裕史さん

■藤佐裕史さん(県介護支援専門員協議会会長)
「1人での介護には限界/専門員の訪問増やして」

 今回の事件に関しては、行政も包括支援センターも入り、介護保険サービスを提供する準備は整っていたと聞く。ケアマネジャーを含め、関係者のショックは大きいだろう。

 厚生労働省の介護保険事業状況報告によると、在宅サービス利用者は2014年4月末現在、全国で366万人。施設利用者の4倍に上る。介護される側は、自宅で過ごすことを望む傾向は強い。在宅介護は、施設に入所するよりも費用が少なくて済む。介護保険利用限度額が最も高い要介護5でも、施設に入所すれば月額で10万円はかかる。在宅なら5~6万円で対応できる。

 老老介護の介護者からは「この状態がいつまで続くのだろう」という悩みを聞く。年を重ねるごとに悪化するケースが多く、「さらに重度になったら対応できるだろうか」「生活が成り立つのか」「介護をしている私まで病気になったら…」と不安は尽きない。

 1人での介護は心身ともに気が休まらない。短期入所やヘルパーの訪問回数を増やすなど、介護の負担を軽くする方法はある。

 ケアプランを作成するケアマネジャーは月に1回、介護を受ける当事者や家族の状態を確認するために自宅を訪問する。家族の悩みを聞く機会も多く、変化にも気付きやすい。家族から悩みを打ち明けられなくても、いつもは片付いている場所が散らかっているなど、ちょっとした変化は、家族の心理状態を推し量る糸口になる。こうした異変を少しでも早く見つけることが、不測の事態を防ぐことにつながる。

 ただ、実際は人の心の機微を感じ取ることは非常に難しい。今回の事件は、大阪から転居して1週間ほどで起きたという。相談する相手も限られていただろう。短い期間の関わりでも、こういう事件をいかに未然に防ぐかは新たな課題だ。

=プロフィル=

 とうさ・ひろふみ 佐賀市社会福祉協議会総務課長で、主任介護支援専門員。2012年から佐賀県介護支援専門員協議会の会長を務めている。佐賀市。60歳。

=読者と記者の交差点 「老老介護」どう支える= 識者インタビュー

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