26日開会した臨時国会で、環太平洋連携協定(TPP)の審議は波乱含みの展開になりそうだ。先の通常国会では、政府の情報開示姿勢や西川公也元農相の著作を巡って審議が一時空転し、承認を先送りした。今国会では、輸入米の入札で発覚した業者の不透明な取引が新たな火種となりそうで、承認を急ぐ政府、与党に対し、野党は対決姿勢で引き続き臨む。

 TPPは昨年10月に参加12カ国で大筋合意し、今年2月の署名により内容が確定した。各国の議会承認などの手続きを経て発効すれば、国内総生産(GDP)で世界の約4割を占める巨大経済圏が誕生する。米国では承認のめどが立たない状況が続いているが、日本はオバマ政権を側面支援する意図もあり、承認を急いでいる。

 TPPが発効すれば日本の農林水産物は82%の品目で最終的に関税が撤廃される。コメは米国とオーストラリア産の輸入枠が拡大され、牛・豚肉も大幅に関税が引き下げられる。

 政府はTPPで日本の実質GDPが約13兆6千億円押し上げられる一方、農林水産物の生産減少額が約1300億~2100億円にとどまると試算する。協定案と併せて畜産農家の経営安定対策を拡充するなどの関連法案も提出している。だが現場の農家では、政府試算に「楽観的すぎる」との批判がくすぶり、経営支援への不安も根強い。

 こうした中、海外産の安いコメの輸入で国内農家が打撃を受けないよう国の管理下で行われてきた「売買同時入札」(SBS)で不透明な取引が発覚した。海外産のコメ価格を国産とほぼ同水準にする役割を果たしてきた制度だが、業者がリベートを使って国の管理する価格より安く市場に流通させていた可能性が指摘されている。

 政府は10月上旬ごろまでに実態調査を終える方針で、一定の改善策も示し沈静化させたい考えだ。ただ民進党は自民党に前倒しの調査公表を求めており、結果によってはTPPによるコメへの影響を「ゼロ」としてきた政府試算の根拠は揺らぎかねず、予断を許さない。【共同】

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