1960年はテレビが及ぼす威力を見せつけられた年である。米国で歴史に残る大統領選候補者同士の初のテレビ討論が行われた。共和党はニクソンで民主党はケネディ◆ニクソンは過去8年間の副大統領の実績と弁舌に自信を持っていたが、選挙戦の疲れを画面がとらえる。化粧を拒み、ひげ剃(そ)り跡が一層濃く見え、ダーティーな印象を与えてしまった。対するケネディはモノクロではあったが、カメラ映りを意識し、濃紺のスーツに赤と青のストライプのネクタイ、ライトブルーのシャツで清新さを強調。化粧もしっかり行い、テレビでは圧勝した◆ケネディは一躍知名度を高め、僅差で大統領の座を勝ち取る。この時から、選挙のやり方が大きく変わったといわれる。さて、今回の民主党クリントン氏と共和党トランプ氏の初のテレビ討論も、話題性十分で注目された。「究極の不人気対決」といわれたが、見せ場はあった◆クリントン氏が入念な準備で余裕があったのに対し、トランプ氏がかっとなって話に割り込むなど、地金が出た形となった。「けんかのように騒々しかった」と米メディアが評したほど◆トランプ氏は大統領として大丈夫と思わせられれば有利とされたが、そこまでは届いていないようだ。討論会はあと2回。接戦からどちらが抜け出すか、目が離せない。(章)

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