多久聖廟の天井に描かれた蟠龍(写真提供・孔子の里)

■とぐろ巻き、天高く舞う時へ

 多久聖廟(せいびょう)には、壮麗な彫刻が数多く施されています。その中で特に目につくのが、たくさんの龍です。

 建物正面の2本の柱に阿吽(あうん)の龍。本堂内部正面の壁には花に見立てた雲海の中に阿吽の龍。高床になっている室(むろ)の扉には左右あわせて24頭の龍がいて、孔子像を納めた聖龕(せいがん)の柱にも、孔子像を守るかのように阿吽の龍が巻きついています。

 圧巻は、天井に描かれた蟠龍(はんりょう)です。とぐろを巻き、天に上る機会をうかがっている龍で、描いたのは多久領の絵師御厨夏園(かえん)(生没年不明)です。まるで生きているような出来栄えの素晴らしさから、夜な夜な天井を抜け出して人々を驚かすので、鱗(うろこ)を1枚はがして抜け出さないようにしたとの伝説が残っています。

 このほか、多久聖廟には100近い龍の装飾があります。中国では皇帝の権威の象徴であり、皇帝に準ずる位である孔子の周りにもたくさんの龍が存在しているのです。

 また、孔子が生まれる前に現われたという麒麟(きりん)や、滝を登って龍となる鯉、鳳凰(ほうおう)、獅子や象、魔物を食べつくし顎が抜けてしまった妖怪「饕餮(とうてつ)」などが、聖廟の内外を飾っています。

 普段は内部に入ることはできませんが、10月23日に開催される秋季釈菜(せきさい)の折には一般公開されます。聖廟を彩る聖なるけものたちに、会いに来てみませんか。(多久市郷土資料館 志佐喜栄)

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