武雄市が来秋開館を目指す「こども図書館」の施設概要が見えてきた。図書館、絵本、遊びのスペースにフードコートを備える。小松政市長は、運営を武雄市図書館を指定管理運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)に委託する考えも示している。施設運営の具体的な内容はこれから明らかになる。市民に広く情報提供し、あるべき姿を論議したい。

 建設概要は小松市長が市議会で明らかにした。市図書館の隣接地1439平方メートルに、鉄骨2階建て、延べ床面積690平方メートルの施設を建設。1階に図書と絵本、遊び場の3スペースを設ける。2階はフードコートにして、外からも食事が持ち込めるようにする。

 こども図書館構想は樋渡啓祐前市長が打ち出した。小松市長は就任当初の2015年1月、財政面などを理由に新設しない考えを示したが、図書館を中心に親子が一緒に過ごせる「子育てセンター」構想に変更。そして今春、子育て応援機能を持ち、多世代が交流できる「こども図書館」に戻った。

 市はどんな施設を目指しているのだろう。これまでの説明では、単に子ども向けの図書や絵本が並ぶ図書館ではなく、親世代を含めてくつろげ、子育て支援などの機能を備えるイメージだった。既に実施設計に入っており、内容もより具体化していると思う。

 2階のフードコートは、大型商業施設のようなファストフードが並ぶものではないだろう。先日、武雄市で講演した柳田邦男さんは、こども図書館の3条件のひとつに「乳幼児が安全に飲食できる専門スペース」を挙げた。アレルギー対応、オーガニック、食育、クッキング…いろんな想像ができるが、市の考えはどんなものか。

 そうした運営構想を聞いたうえで、指定管理者制度を選択する理由も知りたい。小松市長はCCCへ委託理由を含めて「市図書館との一体性や相乗効果を考慮した」と説明した。確かに図書館という“共通項”は大きい。ただ、前述したように、こども図書館には多様な機能が求められている。運営充実のために指定管理がベターなのか。CCCのどんなノウハウを評価しているのか。子育て世代はどのような形で運営参加できるのか。説明が欠かせない。

 こども図書館をCCCに運営委託することは、武雄市図書館の委託契約更新にも影響する。市図書館の委託契約期間は5年間で2018年3月まで。こども図書館はその半年前の契約開始になり、市図書館の契約更新も必然的になる。更新する前には、市として市図書館の運営委託について検証、総括することが不可欠と思う。

 CCCの運営は新しい形の図書館として全国から注目を集める一方、必要性の薄い本を購入した「選書問題」が発覚し、運営委託をめぐる訴訟も起きている。これまでの「入館者が3倍になり、アンケートで8割が満足と答えている」という簡単な見解ではなく、選書や調べ物相談などのレファレンスといった図書館機能の検証や、常設できなくなった国重要文化財の歴史資料公開などを含め、一度は総括が必要だ。“自動更新”はありえない。

 こども図書館新設を契機に、市図書館を含めて、武雄市の図書館の在り方を考えたい。(小野靖久)

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