歯医者さんは「痛くなったら行くところ」という昔ながらのイメージが変わりつつあります。「痛くなる前に予防し、健全な歯を保つ」という意識が、全国的に高まっているのです。できるだけ自分の歯を残し、イキイキとした心と体で老後を迎えるためにも、『予防歯科』を始めませんか? 県内で予防歯科に熱心に取り組む、森永歯科クリニックの森永大作先生に話を聞きました。

「治療」から「予防」へ

 かつて、むし歯や歯周病の治療は「早期発見・早期治療」が有効だと言われていました。しかし現在では「病気になる前からの予防」に意識が変わりつつあります。スウェーデンをはじめ歯科先進国ではすでに『予防歯科』が実践され、日本国内でも新しい歯科医療システムとして広まってきています。

 その背景には、日本人は50代前後から下り坂のように歯の数が減り始めるという現状があります(図1)。永久歯の総数は28本ですが、80歳になると1人平均14本以下で、歯が半分も残っていない状況です。

 日本人が歯を失う原因の5割以上が「むし歯」、約4割が「歯周病」です。初期のむし歯や歯周病は自覚症状がなく、痛みや腫れ、出血などが現れた時はかなり進行していることがあります。また、むし歯は一度削ると、再度むし歯になりやすくなり、その治療の度に詰め物や被せ物が大きくなり、最終的には抜歯に至るケースもあります。治療する時には手遅れということも少なくありません。

 そんな事態になる前に、歯科医や歯科衛生士の指導を受けて、むし歯や歯周病ができない口腔内環境に整える『予防歯科』に意識を変えてみませんか。

リスク診断は だ液検査と歯周病検査

(1)初診
 問診票の記入、生活習慣や体調などのカウンセリング、X線撮影・口腔内の写真撮影、ビデオで予防歯科の啓発を行います。痛みや腫れがある場合は応急処置をします。また、この段階で、むし歯のリスクを診断するためにだ液検査、歯周病のリスクを診断するために歯周病検査を行います。これらの検査結果と問診で得た情報、各種検査結果をもとにむし歯、歯周病それぞれのリスク診断を行います。

(2)検査結果説明とカウンセリング
 検査結果をもとに、むし歯や歯周病の要因・リスクを説明し、治療計画を立てます。(図2)


検査結果を図にして、現状とリスクを分かりやすく説明する

(3)初期治療
 歯石を除去し、歯のクリーニングとフッ素塗布を行います。またこの時に歯みがきや歯間ブラシの使い方など、セルフケアの指導も行います。

(4)評価
 歯ぐきの状態などを再度検査します。

(5)治療
 口の中の状態が改善されてから、必要に応じて、むし歯の治療に入ります。

(6)再評価
 最終チェックを行います。

(7)メインテナンス
 口の中の健康を維持するため、4カ月~半年に1回程度の通院で、定期検診・クリーニングをします。

担当「歯科衛生士」に 気軽に相談を

 「予防プログラム」は、歯科医院でのケアに加え、自宅でのケアが欠かせません。当院では一人の歯科衛生士が一人の患者を受け持つ「担当制」を採用しています。最初のカウンセリングからクリーニング、セルフケアの指導、メインテナンスまで、口の中の変化を把握しながら、口腔ケアのプロフェッショナルである「歯科衛生士」が責任をもって対応します。

 患者の皆さんも「歯がツルツルきれいになって、気分もリフレッシュできる」と、気軽に歯科医院を訪れることを、生活習慣の一部にしたいですね。

自分の歯で一生健康

 自分の歯でしっかり噛むことができれば、食事がおいしく、家族や友人との会話も弾むでしょう。消化器の負担を減らすだけでなく、血流や唾液の分泌も良くなるため、認知症や肺炎の予防にもつながります。

 逆に、歯が抜けてかみ合わせが悪くなると、体のバランスが崩れ、寝たきりになりやすいという統計も出ています。老いを迎えてからも生活の質を保つために、予防歯科で歯や口の中の健康を大切にしていきましょう。

ドクター紹介

森永 大作
森永歯科クリニック 院長

もりなが だいさく 医学博士。日本口腔インプラント学会専門医。2000年福岡歯科大学卒業後、久留米大学医学部口腔外科へ入局。2005年久留米大学大学院修了。日本顎顔面インプラント学会会員、日本口腔外科学会会員、日本歯周病学会会員。


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