約8割が症状改善「舌下免疫療法」 スギ花粉とダニのアレルギー性鼻炎に有効

 くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなど、わずらわしい症状を引き起こす「アレルギー性鼻炎」。その原因がスギ花粉やダニなら、「舌下免疫療法」が解決に導いてくれるかもしれません。2014年からスギ花粉、2015年からダニの舌下免疫療法が保険適用に。約8割の人の症状が改善されたという報告もあり、にわかに注目を集めています。そこで、くさの耳鼻咽喉科の草野謙一郎先生にお話を聞きました。

油断ならない鼻炎

 今や日本人の約40%がかかるという「アレルギー性鼻炎」。鼻水、鼻づまりなど、つらい症状を引き起こすだけでなく、重症化すると副鼻腔炎や中耳炎、気管支喘息などにつながるため、注意が必要です。

 アレルギー性鼻炎には「季節性」と「通年性」があります。季節性のほとんどは、スギ花粉などが飛散する春先に発症する「花粉症」です。通年性の場合は、季節を問わず1年中発症します。家のホコリやカビ、ペットの毛などハウスダストが原因となりますが、なかでもダニの死骸やフンが原因の大半を占めます(ハウスダストの中の約80%がダニです)。

 こうしたアレルギー性鼻炎の治療には、飲み薬や点鼻スプレー、レーザー手術などで症状を抑える「対症療法」が一般的でした。ただし、それでアレルギー体質が改善されることはなく、症状が出るたびに繰り返し治療することが必要です。

 また、アレルギーの原因物質(アレルゲン)を体内に取り入れ、根治を目指す「免疫療法」もありますが、皮下注射のため痛みを伴い、通院回数が多いのも負担となっていました。


舌下免疫療法の治療薬。スギ花粉に「シダトレン」(右)、ダニに「ミティキュア」

保険適用 11月までに備えを

 そこで近年、注目されるのが「舌下免疫療法」という新しい治療法です。特定アレルゲンのエキスを舌の下から体内に吸収させて免疫をつける方法で、保険が適用されます。3~5年の継続治療が必要ですが、治療開始から2~3カ月で効果が現れ、約8割の人の症状が改善したという臨床結果もあります。

 当院でも平成26年から、スギ花粉の舌下免疫療法を実施しています。

 初めての方は、花粉の飛散時期から判断して、毎年6月1日~11月30日の間に治療を開始(12~5月は安全性などさまざまな観点から新たに治療を始めません)。スギの液体エキス「シダトレン」を毎日1回舌下に含み、スギ花粉に体を慣らしていきます。

 今年の夏は猛暑が続いたため、来年の花粉の飛散量は極めて多いと予測されます。春を快適に過ごすためにも、11月までに備えを始めましょう。

ダニは秋が要注意

 当院では今年新たに、ダニの舌下免疫療法も開始しました。スギ花粉の治療と違って、1年中いつでも始められるのが特徴です。口溶けのいい錠剤「ミティキュア」を毎日1錠、舌の下に置いて飲むことで、約1年で8割の人に効果が現れ、症状が5割程度軽減したという報告もあります。ただし、少なくとも3年は服用を続け、効果を持続させましょう。

 ダニは高温多湿を好むため、梅雨から夏にかけて大量に繁殖し、秋にその死骸やフンが最も増えます。日ごろの掃除・寝具類の手入れに加え、免疫療法でのケアも検討してみてはいかがでしょうか。

医師の説明受け治療を

 舌下免疫療法はスギ花粉とダニのいずれかに限ったもので、まず血液検査でアレルゲンを特定して治療を開始します。初回は副作用がないか経過観察し、投薬量や濃度を少しずつ増やしていきます。治療期間は3年以上続きますが、治療が落ち着いた後の通院は1カ月に1回程度。普段は家庭で1日1回の服薬のみ。朝の歯みがき後など、時間を決めて習慣化するのがコツです。

 注意点もあります。12歳未満の子どもさんや、重度の気管支喘息などがある人には実施できません。また、口内炎や舌のかゆみなど軽い副反応が出ることがあります。これまで報告はありませんが、アナフィラキシーショックなど命にかかわる副作用が絶対ないとも言い切れません。

医師の説明を受け、よく理解した上で治療を始めましょう。

MEMO

新CTと予約システム導入

 副鼻腔炎などの診断に欠かせない「耳鼻科用CT」を今年新たに導入。検査時間は約1分(実際の撮影は16秒程度)で、詳細な画像を撮影します。総合病院などのヘリカルCTと比較して、副鼻腔に関して同等の性能がありますが、撮影費が安く、被ばく量が極端に低いのも特徴です。さらに診察予約システム「アイチケット」を導入。携帯電話やパソコンなどで、予約・待ち人数の確認ができて大変便利です。

ドクター紹介

草野 謙一郎氏

草野 謙一郎
医療法人ファースト
くさの耳鼻咽喉科 理事長

くさの けんいちろう 1999年、佐賀医科大学医学部卒業後、同大学医学部耳鼻咽喉科に入局。2004年、佐賀大学大学院医学系研究科博士課程(早期修了)。佐賀県立病院好生館(現・佐賀県医療センター好生館)耳鼻咽喉科、大町町立病院をはじめ佐賀市や多久市、伊万里市、鹿島市、藤津郡などで非常勤医師として勤務。2010年5月、武雄市に「くさの耳鼻咽喉科」を開院。

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