議員のモラルはどこへやら。富山市議会で発覚した政務活動費の不正問題が全国の議会で広がっている。財源はもちろん税金であり、地元住民への背信行為と言える。再発防止には、議員が政治活動への意識そのものを変えていく必要があるのではないか。

 すでに議員10人が辞職した富山市議会のケースはあまりにずさんだった。購入していないプロジェクターやパソコンの代金、ほとんど開催の実態がない市政報告会の資料費、さらには行ってもいない九州の市議会への視察費用として政務活動費を請求している。

 同議会は限度額すべてを使い切ることが暗黙のルールとなっていた。全額を前払いで受け取り、架空経費の領収書をつくる手口だ。使い道を「人付き合いが増え、遊ぶ金がほしかった」と飲食費であると認めた議員もいた。市民の税金で飲み、後ろめたさを感じない時点で議員の資格はない。

 富山だけの問題ではない。私用のマッサージチェア購入(宮城県議)、関西への家族旅行の交通費(石川県議)など全国で問題が表面化している。

 議員の倫理意識の低さに尽きる問題だが、視察報告書がネット情報の丸写しであるなど手口はずさんで、もっと早く気づくことができたはずだった。「号泣会見」が話題となった元兵庫県議のように刑事事件として詐欺罪で立件されることもある。今回は報道機関の調査で判明したが、議会事務局などが申請段階で厳しくチェックするシステムが必要ではないか。

 現実には事務局は“素通り”させ、逆に市民や報道機関が情報開示請求して調べようとすると、議員に開示請求者の名を報告したところもあった。「個人情報への配慮がなかった」との釈明が多かったが、問題はそこなのか。議会の加担していると言われても仕方がない。

 信頼回復の一助として、兵庫や高知県議会は県議の政務活動費の領収書などをネット上で公開している。閲覧すれば分かるが、公開できない理由など思い浮かばない。佐賀県議会でも積極的に情報開示に取り組んでほしい。

 政務活動費の議論で、議員側から必ず出てくるのは飲食費の負担が重すぎるという話だ。会議に顔を出せば、懇親会がセットで開かれることが多い。むげに断れないし、そういう酒の場が本音を引き出しやすいという。佐賀県議会は今年から懇親会1回あたり5千円を上限に政務活動費から支出できるように運用基準を見直した。

 確かに酒の場でしか得られない話や情報もあるだろう。ただ、政治活動の比重を酒席に重きを置きすぎることが問題ではないか。

 現場に積極的に足を運べば、住民は声をかけてくるし、勉強している議員ほど住民も真剣に相談する。地域には多様な意見があり、会議や宴席で知り合えない人たちの声を拾い集めることこそ、議員がやるべきことだろう。

 議員報酬と分けて、政務活動費の予算が認められているのは「議員さん、頑張ってよ」という地域住民のメッセージでもある。議会の論戦や政策に反映されるのであれば、限度額いっぱいに使われることは、むしろ評価されるべきことだ。議員も「働き方改革」に取り組んでほしい。(日高勉)

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