■忘れた頃にやってくる

 先月から麻疹(はしか)が流行して大騒ぎになっています。麻疹は昭和53年に予防接種が行われるようになって以後、私たちの身の周りからすっかり姿を消してしまいましたので、今ごろなぜ? 大人に感染? という意外性がニュースになったと思われます。しかし、10年ほど前にも大学生の間で麻疹が流行しましたので、忘れた頃にふりかかってくるのかもしれません。さて、この麻疹を歯科疾患に照らし合わせてみますと、かつてありふれた疾患であったこと、今はすっかり抑えられていること、しかし一部ではまだくすぶり続けているという点で共通していますので、虫歯の予防と対比させながら考えてみたいと思います。

 昭和40~50年当時のデータをみると、日本全国の小・中・高校生のどの年齢でも約95%、つまり日本の児童・生徒のほぼ全員が虫歯所有者でした。しかし、現在では全国平均として50%を下回るようになり、虫歯大国として知られていた佐賀県も、平成24年の12歳児は全国でベスト4まで向上しています。麻疹の流行を抑えたのは予防接種でしたが、虫歯を抑えたのは、幼少期から行われるフッ化物塗布など予防処置や保護者の方々の意識改革であったことは間違いありません。

 ところで、麻疹の再流行が起こった背景に目を向けてみますと、予防接種を受け損なっていた、受けたけれど免疫がつかなかった、成長とともに免疫が低下してしまったなどの理由があります。虫歯はどうでしょうか。子どもの頃に予防処置を受け損なっていた、受けてはいたけれども保護者からの声掛けもなくなり、いつしかおざなりになってしまった、などが考えられますが、大人になってからお口の中で虫歯が大流行してしまうという憂き目に遭うかもしれません。災難は忘れた頃にやってきます。麻疹も虫歯も社会全体としては終息傾向にありますが、個人レベルではまた別の話と考えて、各自で健康管理の意識を持ち続けることが大切だろうと思います。

(すみ矯正歯科・隅康二)

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