広島に続き、北海道が盛り上がっている。プロ野球のパ・リーグは大逆転で日本ハムが制した。常識外れと批判されながらも大谷翔平選手の“投打二刀流”を貫き続けた栗山英樹監督の手腕が光ったといえよう◆道産子を熱狂させたチームは過去にもある。2004年の夏の甲子園で初の優勝旗をつかんだ駒大苫小牧高だ。佐賀商高OBで、当時の監督香田誉士史(よしふみ)さんの13年間を描いた『勝ち過ぎた監督-駒大苫小牧幻の三連覇』(中村計著)が刊行された。理にかなった熱血指導で選手たちが成長する物語だ◆ライバル校は「九州出身なので北海道の概念にとらわれなかった」と香田さんを評した。真冬の氷点下のグラウンドでも雪をかき分け、ノックや打撃練習を続けた。「やってみなければ分からん」が口癖で次々と新しい練習を試した。メジャーで活躍する田中将大投手は練習風景を見て兵庫県から入学した◆本のタイトルから想像できるように全国制覇後の苦悩も描いている。元部員らの不祥事が続き、苫小牧の“春”は短かった。田中投手卒業の翌年に監督を辞め、今は社会人野球のコーチを務める◆練習で得た自信で強敵相手にひるまず、競り勝ってきたのが香田さんの野球だった。もう一度、甲子園で見たい。まだ45歳。球児と一緒に理想の野球をつくる時間は十分あると思う。(日)

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