「毎年、この時期は一面に青々とヒシが広がる」と話す区長の中野さん。今年は病気がまん延し、収穫ができないという=神埼市神埼町大依地区のクリーク

白絹病に感染し、葉が茶色に変色したヒシの葉(神埼市提供)

 ヒシ(和菱)の実採りが秋の風物詩となっている神埼市神埼町大依(おおより)地区のクリークで、今年はヒシが姿を消している。葉が腐る「白絹(しらきぬ)病」がまん延し、水面に浮かぶはずのヒシが底に沈んだり、流されたりしたためで、夏の猛暑などが影響したとみられる。特産品作りを進める関係者は、収穫量の確保に奔走している。

 大依地区は市内でメインとなる採取場。横一列に並んでハンギーと呼ばれる槽に乗り、手作業で摘む風景が親しまれてきた。南北に700メートルほど延びるクリークを埋め尽くすように青々とヒシが茂り、多いときは約2トンの収穫があった。

 市によると、9月上旬に葉が茶色に変わる異変が見つかり、薬剤を散布したが、既に感染が広がっていた。猛暑で水温が高かったことやクリークののり面の雑草、外来種の浮草などもヒシの発育を弱め、まん延につながったとされる。

 今季は約5キロしか採れなかったという区長の中野良典さん(78)は「7、8人がかりで1カ月かかっていた作業が半日ほどしかできなかった。本当に残念。来年に期待したい」とため息をついた。白絹病は馬場川上流でも感染が見られ、下流では収穫を急いでいる。

 県農業技術防除センターによると、一般的に白絹病は畑作の野菜などによく出る病気。菌は水中でも生存でき、25度以上で発病する。菌核を作るため、次の年まで伝染源として残る可能性もあるという。

 ヒシは日照時間などの影響を受けやすく、カメや害虫の被害もあるため、市は2012年から休耕田を活用した水田栽培、本年度は新たに6地区のクリークで栽培に取り組んでいる。

 別のクリークでは順調に発育している。高志地区は特に生育がよく、市は「量の確保が心配だが、目標の1トンに届くように、点在しているものを集めたりして補いたい」としている。

 生産者や採取者らでつくる神埼和菱組合の本村宣行組合長(70)は「地元を離れても懐かしい味を求めて電話してくださる方が何人もいる。大依の打撃は大きいが、水田の管理や他のクリークの確認作業を進めていきたい」と話す。

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