外務省は国際テロなどの犯罪を防止するため、偽造対策を強化する新たな旅券(パスポート)の開発を目指す方針を固めた。顔写真や氏名が印刷された紙のページを偽造しにくいプラスチック板に変更し、セキュリティーの向上を図るのが柱。2023年度中に導入する。新旅券を導入しても、交付にかかる日数や手数料に変更はない見通しだ。【共同】

 外務省は偽造を防ぐため、これまで5~8年に1回のペースで旅券を変えてきた。今回の開発は次回改良予定の19年度には間に合わないが、次々回の改良を前倒しして導入し、テロ対策強化を後押しする。

 ドイツやオランダなどは既にプラスチック板を使用している。政府は、20年の東京五輪・パラリンピックを機に、国内外への人の移動が活発になるとみて、偽造防止に向けた取り組みを急いでいる。

 顔写真などが記された旅券のページは現在、申請窓口となる都道府県や在外公館ごとに小型の機械で印刷している。航空分野のガイドラインを定める国連専門機関の国際民間航空機関(ICAO)は、偽造対策を高度化しやすい集中作成方式を勧奨。米国など約40カ国は同方式で既に旅券を発行し、北欧諸国などはレーザーを使った印字や彫刻ができるプラスチック板を導入済みだ。

 外務省は14年から有識者による検討を重ね、国立印刷局で集中的に作成する方式に変更し、大型の作成機を導入するのが望ましいと判断。17年度予算の概算要求にシステム開発費として約3億円を盛り込んだ。

 ■旅券の偽造対策 外務省が旅券(パスポート)偽造による犯罪の防止を目的として定期的に実施している改良措置。2001年の米中枢同時テロ後、各国が取り組みを強化した。日本は06年3月、集積回路(IC)チップを旅券に導入し、偽造を難しくした。20年東京五輪・パラリンピックを見据え、19年度中に導入する次回の改良では、葛飾北斎の浮世絵「富嶽三十六景」のデザインを査証欄に取り入れる予定で、偽造防止に加え、美しい伝統文化をアピールする。

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