ノーベル賞各賞の発表が3日から始まる。自然科学分野は、日本人の3年連続受賞に期待がかかる。村上春樹氏は今年も文学賞の有力候補。平和賞はシリア内戦や欧州の難民問題に絡む受賞を予想する声が多いが、日本の護憲団体「九条の会」や被爆者らにも注目が集まっている。【共同】

【自然科学3賞】医学生理学に有力候補

 皮切りとなる医学生理学賞は、生物が細胞内で自らのタンパク質を分解し再利用するオートファジーの仕組みを解明した大隅良典・東京工業大栄誉教授(71)が有力候補だ。過剰な免疫反応を抑える制御性T細胞を発見した坂口志文(しもん)・大阪大教授(65)や、免疫に関わるタンパク質PD1を見つけ、がん治療薬の開発につなげた本庶佑(ほんじょたすく)・京都大名誉教授(74)も候補に挙がる。

 物理学賞は「アインシュタインの最後の宿題」といわれた宇宙からの重力波を初観測した国際実験チーム「LIGO」が有力視されている。決まれば発表から1年足らずの異例のスピード受賞となる。日本人では、磁石の性質を持つ特殊な物質を研究した十倉好紀・理化学研究所センター長(62)らの名前が挙がる。

 化学賞は日本の得意な有機化学分野から受賞者が出るとの見方がある。この分野で最も権威がある米化学会の賞の受賞が決まった中部大の山本尚教授(73)や、柴崎正勝・東大名誉教授(69)が取り沙汰される。リチウムイオン電池を開発した吉野彰・旭化成顧問(68)らも期待される。

【平和賞】被爆者も候補の一角に

 7日発表の平和賞は、シリアの戦闘地域で救助活動を続ける市民組織のシリア民間防衛隊(ホワイト・ヘルメット)が注目の的。「もう一つのノーベル賞」と呼ばれるスウェーデンの「ライト・ライブリフッド賞」を今年受賞し、平和賞に推す声も高まりを見せる。

 中東などから押し寄せる難民の救援を続けているギリシャ・レスボス島の人々や、半世紀余りに及んだコロンビア内戦の和平合意に尽力したサントス大統領(65)と左翼ゲリラ、コロンビア革命軍(FARC)のロンドニョ最高司令官(57)らも予想の上位に。

 性暴力被害者の治療に取り組むコンゴのドニ・ムクウェゲ医師(61)、「ライト・ライブリフッド賞」を受賞しているロシアの人権活動家スベトラーナ・ガンヌシキナ氏(74)のほか、ノーベル賞作家大江健三郎氏らが呼び掛け人の「九条の会」、オバマ米大統領の広島訪問で注目を浴びた被爆者や関連団体も候補の一角に挙がっている。

【文学・経済学賞】村上春樹氏、予想1番人気

 文学賞は村上春樹氏(67)が英国の複数のブックメーカー(賭け屋)の予想で1番人気。シリアの詩人アドニス氏(86)、米作家フィリップ・ロス氏(83)、ケニアの作家グギ・ワ・ジオンゴ氏(78)らが続くが、村上氏を含め多くは毎年候補に挙がる“常連”だ。

 昨年トップだったベラルーシの作家スベトラーナ・アレクシエービッチさんは実際に受賞した。村上氏に決まれば川端康成、大江両氏に続く日本人文学賞受賞者となる。

 経済学賞では、バブルやデフレにつながる仕組みを独自モデルで説明した米プリンストン大の清滝信宏教授(61)に日本人初受賞の期待がかかる。

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