雑誌の表紙が見やすいように並べられた書棚。華やかな女性誌もなかなか売れないという=21日、東京都世田谷区

◆漫画誌不振、スマホ普及

 出版不況が続く中、今年の雑誌の売り上げが、41年ぶりに書籍を下回る見通しとなったことが26日、出版科学研究所(東京)の調査で分かった。漫画誌の不振などが原因とみられ、1970年代半ばから続いた「雑高書低」と呼ばれる状態が逆転、出版界の“常識”が覆った。スマートフォンの普及や電子雑誌読み放題サービスの浸透なども背景にあり、雑誌を主力に据える町の書店の苦しさが浮き彫りになった。

 同研究所が1~11月の販売実績を基に算出した出版物推定販売金額(電子出版を除く)で判明した。雑誌は約7200億円で、前年比7・7%減。ピークだった1997年と比べ、市場規模は約46%にまで縮小した。

 「こちら葛飾区亀有公園前派出所」など人気作が相次ぎ連載を終え、漫画誌全体の1~11月期の推定発行部数は前年同期比12%減と過去最大の落ち込みに。漫画の単行本の年間推定販売金額も、前年比約8%減と過去最大の落ち幅となる見通し。

 一方の書籍は約7300億円で、「ハリー・ポッター」シリーズの新作や石原慎太郎さんの小説「天才」のヒットで、前年比1・6%減にとどまった。雑誌は19年連続、書籍は10年連続の前年割れとなった。書籍と雑誌を合わせた紙の出版物全体では、前年比約4・7%減の約1兆4500億円となり、35年ぶりに1兆5000億円を割った。前年割れは12年連続。

 雑誌は、「週刊文春」がスクープを連発して話題を集め、付録付きの美容誌や女性ファッション誌も健闘したが、男性誌や趣味誌は低調だった。出版科学研究所の担当者は特に漫画誌の落ち込みが目立つと指摘、「(今回の推定販売金額には含まれない)電子出版での漫画の定着が進み、漫画は『紙で読まなくてもいい』という読者が増えている」と分析する。

 小幅の落ち込みだった書籍では、「ハリー・ポッターと呪いの子」、アニメ映画「君の名は。」の原作小説と、「どんなに体がかたい人でもベターッと開脚できるようになるすごい方法」がミリオンセラーに。文芸書も好調で「天才」のほか、芥川賞を受賞した村田沙耶香さんの「コンビニ人間」や宮下奈都さんの本屋大賞受賞作「羊と鋼の森」もヒットした。

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