移動編集局では毎回、地域リーダーによる「まちづくりを語ろう会」を開いている(7月の太良町の語ろう会から)

 佐賀新聞移動編集局「わがまち未来形」の有田編が12日にスタートする。22、23両日の特集面を含め、約2週間にわたって有田町の話題を重点報道。年間企画「有田焼400年-未来へ挑む」の最終第5章も同時期の展開となる。佐賀県を代表する伝統産業・有田焼の大きな節目を祝うとともに、地域の磨き上げにいま何が必要なのかを考える機会にしたい。

 移動編集局は未来形の名前の通り、市町の望ましい将来像を探る企画として始めた。2010年11月の嬉野市を皮切りに年2、3カ所のペースで巡回しており、今回の有田町は7月の太良町に次いで14番目の開催となる。

 各市町とも重点報道は地域リーダーと首長による「まちづくりを語ろう会」から始めている。農林漁業や商工業、福祉など各分野の代表6~7人に思いを語ってもらっているが、ふるさとを愛し、真正面から課題に向き合っているからこそ、肌感覚の気づきがあるのだと毎回痛感させられる。

 期間中は市町の先進的な取り組みや旬の話題をクローズアップ。首長インタビューや、東京・大阪などで活躍する出身者の応援メッセージなども掲載する。長年地域に密着している支社局の担当記者にとっては取材活動の集大成で、腕の見せどころとなる。

 有田町の現状はどうだろうか。地域の発展を支えてきた有田焼はバブル景気末期の1991年をピークに主要企業の売上高が6分の1にまで急減。窯元、商社の廃業も増える中、産地としての生き残りと再興をかけ、ライフスタイルの変化に応じた食器の開発や新たなブランド戦略、海外輸出などさまざまな挑戦を続けている。

 県内の各市町には個性と呼ぶべき特徴がある一方、人口減少や高齢化、TPP(環太平洋連携協定)発効を見据えた産業振興など共通する課題も多い。「平成の大合併」で県内は49市町村が20市町となったが、国の合併特例債の恩恵も薄れ、今後は税収不足も重なって財政が徐々に硬直化していくことも予想される。

 国は地方創生を声高に叫ぶが、並大抵の努力では達成できないことも事実だろう。県内の自治体は昨年度、数十年先を見据えた人口ビジョンと総合戦略を策定した。有田町をはじめ、その多くが国立社会保障・人口問題研究所の推計値まで人口が急減しないよう、地域ぐるみの工夫で減少傾向に歯止めをかけることを誓っている。

 地域振興に向けたアイデアを学び広げることは、隣接する市町にとっても有意義なことだろう。ふるさとを守り育てる主役は住民にほかならないが、その手伝いをするのは地方紙である佐賀新聞の役割そのものである。移動編集局が住民意識の高まりの一助になればと思う。(杉原孝幸)

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