民進党 大串博志氏

 7月の参院選を経て改憲勢力が衆参両院で初めて3分の2以上の議席を占めた今国会。憲法審査会を開いて本格的な改憲論議を加速させたい自民党に対し、民進党は自民党改憲草案を撤回した上での議論を求めている。国家観の転換につながる論戦にどう臨むのか。佐賀県関係国会議員に聞く。

■自民案、国民の権利軽視 項目絞り込みは応じぬ

 -安倍首相は所信表明演説で「改憲案を国民に提示するのは国会議員の責任」と述べ、民進党に対案を求めている。党の政策を取りまとめる政調会長としてどう応じていくか。

 「党内の憲法調査会はずっと動かしていて、民主党時代の2005年に『憲法提言』をまとめた。十分に対案のレベルまで達している。安保法制の議論でも解釈改憲の在り方や、憲法上どう見るべきかを検討し、対案も用意した」

 -以前、「在任中に改憲を成し遂げたい」と発言した安倍首相だが、今国会では「与野党の立場を超え、静かな環境で議論を」と協調路線を見せている。

 「それは表面上だ。予算委員会で安倍首相とはかなり憲法を議論したが、その本心は私たちとはかなり違うと実感した。憲法は米国から押し付けられたものという認識だ。草案では国民の権利を軽んじて国中心に組み立てを変え、立憲主義を軽んじている」

 -草案の撤回を求める民進党に、安倍首相は「草案をベースに議論したい」と反論し、議論はかみ合っていない。

 「自民の草案と私たちの憲法観はまったく違う。憲法審査会を開くかどうかのところで、まず立憲主義をどう捉えるのかという前提の議論が欠かせない。これに自民が乗ってくるのかどうか。項目の絞り込みを要求されたら、応じられないと言うしかない」

 -個人的に憲法改正には賛成か、反対か。

 「護憲派、改憲派とあるが、言うなれば私は立憲派だ。国民が権力者の専横を防ぐための仕組みが憲法であり、立憲主義だ。権力者側が改正の旗を振るのではなく、国民の側から新しい時代に即した憲法の在り方について幅広い議論が起こり、それが自然に無理なく結実するのがあるべき順番だと思う」

 -関心のある改憲項目は何か。

 「第8章92条の地方自治の基本原則だ。民主党時代から、地方で決められることは地方でやり、手に負えないことだけを国がやるという『補完性の原理』を訴えてきた。日本は国が決めたことを県、市町に下ろす考えだが、新しい時代に合った地方自治の在り方をじっくり議論してもいい」

 -最後に国会の憲法論議に必要な視点は何か。

 「改憲勢力は3分の2超の議席を持っているので発議しようと思えばできる。しかし、最終的には国民投票になるのだから、他の法案と違って特に多数強行で結論を出さないことが憲法審査会の慣例だ。野党も含めた幅広い合意を見つける議論が重要だ」

■略歴

 おおぐし・ひろし 51歳。財務省を経て2005年の衆院選で初当選、4期目。民進党政務調査会長。ネクスト官房長官。党佐賀県連代表。小城市。

■憲法改正手続きとは

 衆院100人以上、参院50人以上の賛同を得て「改憲原案」を提出する。両院の憲法審査会で審議し、共に過半数の賛成で可決、本会議にかけられる。両院議員3分の2以上が賛成すれば、国民投票にかける「改憲案」が発議される。発議から60~180日の間に、国民投票で有効投票総数の過半数の賛成で、改憲が成立する。

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