■医師と患者、納得の上で

 最近、立て続けに私の担当以外の患者さんや家族の方から、治療に関する問い合わせがありました。「◯◯の病院で治療を受けているけど、なかなかよくならない」「検査目的で入院したけど検査後下痢が止まらない」などさまざまです。それらの問い合わせのほとんどは、治療や検査の前に行われるインフォームド・コンセント(説明と同意)の不足なのではないかと感じさせられるものでした。

 インフォームド・コンセントとは、ウィキペディアによると「正しい情報を得た(伝えられた)上での合意」とあります。大事な点は、インフォームド・コンセントは医療従事者からの一方的な説明という一方向の行為ではなく、その説明を理解してこれから受けるであろう検査や治療に関して納得して同意する、という患者さん側の応答も含めた両方向の作業であることです。

 インフォームド・コンセントの不足という点は、説明側の内容の不足もあるでしょうし、説明を受ける側の内容の理解不足もあると思われます。最近はこの説明不足や説明の内容の不明確さを少なくするために、医療機関でインフォームド・コンセントの形式を統一して、それぞれの医療行為についての説明内容を文書化している施設がほとんどです。これによって、説明する担当者による説明内容の不備や統一性のなさは少なくすることができます。

 それでも、説明を受けた側の理解の仕方はさまざまです。例えばがんを初めて告知された方は、がんと言われたことのショックが強すぎてその後の説明はほとんど頭に入らなかった、ということはよく聞きます。インフォームド・コンセントは一度行えば終わりではなく、医療行為が続く限り、さまざまな場面で必要になってくる連続的な行為とやりとりであることも忘れてはならないと思います。理解できないこと、納得できないことがある場合はその時々で質問することも重要です。

(佐賀大医学部附属病院 検査部長・末岡榮三朗)

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