佐賀牛の肥育現場で説明を受けるシンガポールからの視察団。白書では、佐賀牛輸出が好調で青果物輸出にもつながったと分析している=今年8月、西松浦郡有田町

■6次産業化推進に課題

 佐賀県が「県『食』と『農』の振興計画2015」の実施状況報告書(県農業白書)を公表した。青果物輸出やコメの生産費削減全国1位など、10年後の目標を既に達成した項目がある一方、6次産業化の推進で足踏みが見られることなど、課題を示している。

 振興計画では、農畜産物の販売力強化をはじめ、収量アップに向けた技術、経営基盤の確立、担い手育成などの各分野で10年後の数値目標を設定。報告書は現状を踏まえ、その到達度を診断している。

 それによると、ブランド力向上と販路開拓の分野では輸出戦略が絶好調。青果物の輸出量は前年比40トン増の51・7トンとなり、10年後の目標を既に上回った。県農政企画課は「佐賀牛の輸出で実績のある香港で県産品を求める声が高まった」と分析。シャインマスカットや小ネギ、アスパラガスなどの輸出が新たにスタートしており、目標の上方修正も視野に、上積みを図っていく考えだ。

 競争力のある農産物づくりの分野では、肥育素牛の県内自給率が前年比1・8ポイント増の25・7%となった。子牛価格が高騰する中、自給率向上は生産コスト削減の面からも重要課題となっており、繁殖と肥育の一貫経営を支援する補助事業や、JAからつが整備したキャトルステーションの活用を訴えている。

 コメの生産費削減については、集落営農組織で機械利用の共同化が進んでいることに加え、裏作の麦などで水田の耕地利用率が全国1位になるなど、農地が効率的に利用されている地域事情が反映されたことを説明している。

 一方、農産物の加工・販売を広げる「6次産業化」は、佐賀農業の苦手分野で、総合事業化計画の新規認定がゼロ、累計も18件にとどまっていることを明示。

 18年度末までに62件、24年度末までに100件を目標に、研修会や商品開発支援を強化するとともに、新規や女性の就農者育成も重点項目として取り組むことを盛り込んでいる。

 県農政企画課は「計画では、行政用語としては新しい『稼げる農業』という表現をあえて使った。全国的に産地が縮小する中、販売先を確保するにもある程度の数量を供給できる力が必要。農業を人材が根付く魅力ある産業にしていくため、目標達成に全力を挙げたい」と話す。

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