アトレチコの幹部とあいさつする竹原稔社長。試合の成功を受け、ユース選手やコーチ陣の交流を進めることで合意した=8月1日、鳥栖市のベストアメニティスタジアム

◆「クラブ力」確立目指し 直接契約、交流手づくり

 サッカー・J1サガン鳥栖が、スペインの強豪アトレチコ・マドリードを迎えて8月1日に開いた国際親善試合。サポーターからは「浦和やガンバでなく、よくぞ鳥栖に来てくれた」と声が上がった。評価されたのはサガン・ドリームスの積極的な海外戦略。その陣頭指揮を執る竹原稔社長(54)は「さらに高いハードルに挑み、成長の証しを刻み続けたい」と語り、次なる一手も見据えている。

 「相手は世界最高峰のクラブ。鳥栖のことを知っているわけがなく、熱心に援護してくれる人がいなければ来てもらえなかった」。竹原社長は海外リーグに詳しい知人の後押しがアトレチコ招致の決め手だったことを明かす。

 今回、先に動いたのはアトレチコだ。8月末のリーグ開幕を前に、アジアツアーで中国・上海を訪れることになり、日本でもう1試合行うと決めた。この際、情報をいち早く知った知人が「日本で最もアグレッシブで新しいことにどん欲に取り組んでいる」として鳥栖を推してくれたという。

 通常、海外との試合は大手広告代理店に任せるのが一般的。だが、鳥栖は相手クラブと直接パートナー契約を結び、通訳、エージェントなどを介するほかは、事前準備から当日運営まで自前で手掛ける。こうした手法をとっているのはJ1勢では鳥栖だけだ。

 初の国際親善試合となった2年前のシドニーFC戦、昨年のユベントスユース戦も同じ。当然、苦労は多いが、交渉を重ねる中で両者のつながりは強固になる。アトレチコとは今回の試合の成功を受け、ユース選手やコーチ陣の交流を進めることで合意した。

 Jリーグは、日本のサッカーをアジア各国で見てもらおうと模索しているが、鳥栖が見据える海外戦略はこれとは一線を画す。先を行く世界のトップリーグと組むことで新しい価値を生み、数段早くブランド力を高めるのが狙いだ。「常に挑戦しているクラブでなければ、優秀な選手ほど残ってはくれない」と竹原社長。

 チーム同様に、クラブ運営にもハードワークを課し、上を目指す。「チーム力は1試合ごとに出来、不出来があるが、クラブ力は違う。風が吹いても揺るがない力強さをつけたい」。この2年間でイタリア、スペインに交流の足掛かりができた。次に実現を目指すのはユベントスのトップチームの招へいだ。さらにアフリカのクラブとの交流を実現すべく交渉も始めている。

【サガン鳥栖の海外戦略】

 J1参戦2年目の2013年7月、元イタリア代表のデルピエロ選手を擁するシドニーFC(豪州)と対戦。平日ながら1万5543人を集めた。ユベントス(イタリア)とは昨年からユース、OB選手らの交流を継続。今回のアトレチコ戦には全国から2万166人が詰め掛けた。

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