唐津市議会の「傍聴人受付簿記載所」。佐賀市議会は6月議会で傍聴規則を改正し、記載を「任意」とした=唐津市議会棟3階

 県、市町とも9月定例議会は本会議が終わり、閉会、あるいは決算特別委員会に移った。年度も半ばが過ぎ、当初予算に盛り込んだ新規事業の進捗(しんちょく)状況、決算関係では諸事業の費用対効果など、さまざまな議論が交わされた。

 会期中、唐津市議会では坂井俊之市長が来年1月の市長選への不出馬を表明した。唐津市は市発注事業をめぐる幹部職員の逮捕や市長自身の政治献金問題で揺れ続け、坂井市長の進退が注目される議会だった。しかし市長給料の半減議案などが審議された日以外は、傍聴席はまばらだった。

 近年、県内の市町議会でもケーブルテレビやインターネットでの中継が広がり、職場や家庭にいても質問や答弁を見ることができるようになった。唐津市長の不出馬表明の際、ある経済関係者は議場まで出向くのはためらわれ、テレビの前で見守ったと明かした。

 確かに取材を含め、中継は便利だ。議会を身近に感じるようになったという人もいるだろう。

 ただ気になることがある。傍聴席に市民がいるといないでは議場の空気が違う。傍聴者の視線は執行部、議員双方に緊張感をもたらす。行政のチェックを担う議会にとって、なれ合いに陥らないためにも、緊張関係は何より重要だ。

 市民の傍聴を促すためには一般質問項目の事前告知など広報とともに、傍聴を阻害する要因がないか慣例の見直しが必要である。

 佐賀市議会は6月議会で傍聴規則を改正し、傍聴人名簿への氏名や住所の記入が義務から任意、つまり不要となった。傍聴席から録音や撮影もできるようになった。

 氏名ぐらいと思うかもしれないが、傍聴者が逆に監視されているようで、心理的負担は大きい。

 先に北九州市などで議会事務局が政務活動費に関する情報公開を請求した団体名や内容を議員に伝えていた事実が発覚した。国民、市民の「知る権利」を妨げるような体質は今も残る。旧弊は改めるべきで、佐賀市議会のような積み重ねが「開かれた議会」につながっていく。

 議会改革をめぐっては全国で「議会基本条例」の制定が進んでいる。議会の役割や責務を明記し、住民と意見を交わす議会報告会の実施などを盛り込む。先駆的な議会だけでなく、広範な動きとなり、昨年9月時点で制定議会は700を超えた。ただ、それでも全体の4割で、県内は県議会を含め10議会が未制定だ。

 今また各地で政務活動費の不明朗な支出が露見し、議員への不信が増す。来年は唐津、佐賀、鳥栖など5市町で議員選挙が行われる。信頼を得て議員活動に取り組んでいくためにも、候補者側が目指す議会、議員像を明示し、有権者もおのおのの議会改革への姿勢を判断材料としたい。(吉木正彦)

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