記者会見する山本農相=7日、農水省

 国の管理下で行われてきた輸入米の入札で「調整金」などと呼ばれるリベートが横行する実態が浮かび上がった。政府、与党は国産米への値下げ圧力はなかったとして幕引きを図り、14日にも環太平洋連携協定(TPP)審議に入りたい意向だが、野党は反発を強め、波乱は必至の情勢だ。【共同】

▽通告

 「調査の名に値しない。国会での追及を逃れるために時間稼ぎをしたのか」。民進党の山井和則国対委員長は、7日の党米価格偽装追及チームの会合で声を張り上げた。

 農林水産省の調査では、業者の4割超で金銭のやりとりが確認されたが、山本有二農相は「国産米の需給や価格に影響を与えている事実は確認できなかった」と強調。これに対し、民進党からは「卸業者が外食産業などに安売りしていたかどうか実際の価格を調べずに、影響がないと結論付けるのはおかしい」などと異論が相次いだ。

 会合では、聞き取り調査の際に使用した質問票やメモの提供も求めたが、農水省側は「詳細なものはない」と拒否。同党は「根拠のないアリバイづくりの作文だ」として、調査結果を認めない方針で一致した。衆院TPP特別委員会で野党側筆頭理事を務める篠原孝氏は「こんななまくらな調査じゃ審議に入れない。一切、日程調整には応じない」と通告した。

 民進党はTPP承認案について「守るべき国益が守られていない」(野田佳彦幹事長)と反対姿勢を鮮明にしてきた。26日の臨時国会召集後も、TPPの和訳文書の一部に不備が発覚し、自民党議員が承認案の強行採決に言及するなど攻撃材料に事欠かない状況だ。

▽譲れぬ一線

 これに対し、与党は「資料が出てきたのだから、それに基づいて(国会で)議論すれば良い」(自民党中堅)とけん制する。審議入りのめどが立たない現状に、自民党の国対幹部は「野党はTPP審議をどうしても遅らせたい。内容がどうであれ追及材料にするだろう」と頭を悩ませる。

 農水省にとっても、国産米への影響を認めれば、これまでTPPによる国内のコメ生産への影響を「ゼロ」としてきた試算も道連れとなって崩壊する、というお家事情が見え隠れする。試算のやり直しに追い込まれないためにも「リベートはあっても国産米に影響なし」との結論は譲れない一線だ。野党が明確な証拠を突き付けない限り、議論は平行線のまま終わる可能性がある。

 コメ農家など関係者には不信がくすぶる。大阪市でコメの卸販売店を営む男性(35)は、TPPで米国やオーストラリア産の輸入枠がさらに増えることに懸念を示す。「米価を適正に維持するためにも、今回のような問題をどんどん明るみに出してほしい」と注文を付けた。

 福岡県宗像市のコメ農家の男性(31)は「自分が満足できるコメを作って消費者に選んでもらうしかない」と自らに言い聞かせるように語った。

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