出産後の母親が育児への不安や重圧によって、精神的に不安定になる「産後うつ」を予防するため、厚生労働省は2017年度から、健診を受ける際の費用を助成する。深刻化すれば虐待や育児放棄につながったり、自殺を招いたりする恐れがあり、不調の兆しを早めに見つけ、行政の相談窓口など適切なケアにつなげるのが狙い。

 産後うつは約10人に1人が経験するとされる。費用助成は産後2週間と1カ月の2回、それぞれ5千円が上限で、国と市区町村が半分ずつ負担する。一般的な健診費は約5千円のため、事業を導入する自治体では、補助券などによって多くの人が無料で受けられ、出産した医療機関以外での健診も対象となる。厚労省は17年度予算の概算要求に7億円を盛り込んだ。

 厚労省研究班が12~14年度に実施した調査では、初産の場合、うつ状態など精神的な不調に陥る人は産後2カ月ごろまでに多く、特に産後2週間の時期に発症のリスクが高かった。1カ月健診は広く行われているが、子どもの発育の確認が中心。研究班はより早い段階から、精神的に不安定になりやすい母親へのケアを充実させる必要があると指摘していた。

 健診では母親の身体的な回復状況に加え、授乳がうまくできているかなど、子育ての悩みを幅広く聞き、心身の状態を把握する。支援が必要と判断されれば、市区町村による育児相談や指導のほか、宿泊・日帰りによる産後ケア事業の利用などを促す。

 厚労省はこのほか、新生児への虐待防止のため、望まない妊娠で悩む女性の相談体制も充実させる方針。産科医療機関などに社会福祉士らを配置し、出産後の住居や就労面での支援に向けたコーディネーター役を担ってもらう。17年度に全国10カ所でモデル事業を実施する考えだ。【共同】

 ■産後うつ 子育てに対する不安や、ストレスの蓄積などによって抑うつ状態に陥る病気。強い疲労感、絶望感を覚え、子どもへの愛着を持てずに育児放棄や虐待にもつながる。出産後の女性の10人に1人程度にみられ、多くは出産から2カ月ごろまでに発症する。出産前後に、ホルモンバランスの変化などにより一時的に気持ちが落ち込むことを、一般的にマタニティーブルーと呼ぶ。

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