長崎県松浦市にあるJR九州ファームの農場でアスパラガスを収穫する松本敏光さん=8月

 長崎県松浦市にあるJR九州ファーム(鳥栖市)の農場で今年、アスパラガスが初めて収穫された。同社は九州最大のアスパラガス農場にしたい考えで、担い手不足に悩む地元は企業的な農業経営を通じた生産力アップ、特産品化に期待している。ただ、外部からの参入を不安視する声もあり、同社は地域との連携を密にする姿勢を打ち出している。【共同】

 ▽自慢

 長崎県のアスパラガス生産量は全国4位。北部に位置する松浦市は土壌に豊富なミネラルを含み、ほどよい甘みと苦みが特徴だ。しかし、高齢化で栽培農家が減少。JR九州ファームは昨年5月、市と農業参入に関する協定を結んだ。

 海に近い地区に土地を借り、アスパラガス用のハウスは現在12棟。この秋から23棟に拡張し、栽培面積は3・3ヘクタールになる。別に露地栽培でブロッコリーも育てる。今年は10月までにアスパラガス25トンの収穫を予定。2019年には約100トンに増やすのが目標だ。

 農業経験のない主婦、元警察官ら地元の17人を採用。建築会社から転身した松本敏光さん(61)は「農業をしたいと思っていた。自分が手入れしたものを食べてもらえることが幸せ」と話す。

 同社は地元のJAながさき西海から資材や営農指導の支援を受け、収穫した約7割を出荷。残りは福岡市にある直営店「八百屋の九ちゃん」などで売る。

 ▽期待

 JR九州は10年4月、大分市でニラ栽培に参入したのを皮切りに、九州各地で営農を開始。長崎県への参入は松浦市が初めてだ。

 松浦市のアスパラガス農家は減少傾向にあり、市の担当者は「大規模経営で産地強化と雇用拡大が見込める。ブランド化を進め、特産品にしてほしい」と期待する。

 一方、地元には「国土の保全も担う農業と利益を追求する企業は水と油。企業はもうからないと撤退する」と心配する声もある。

 今回の参入では第1希望だった土地の関係者に反対され、場所を変更。現在の農場でも地元住民から夏場のホタルを守るよう求められたため、蛍光灯などでガを駆除する「防ガ灯」の使用も諦めた。

 それでもJR九州ファーム松浦事業所の森崎崇所長(40)は「農業も鉄道も地元との関わりがあって成り立つ」と地元の声を尊重する方針を強調。地権者との交流にも積極的に参加しており「不安を抱く地域の人々に寄り添い、信頼につなげたい」と話している。

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