日米など12カ国が2月に署名した環太平洋連携協定(TPP)は、最大の経済規模を持つ米国が大統領選を控え承認手続きが進まず、発効時期が見通せない状況だ。日本政府は今臨時国会での承認や関連法案の成立を目指しており、与党は14日にも衆院TPP特別委員会で審議を再開させたい考えだ。【共同】

 ただ輸入米入札の不透明な取引を巡り、与野党の対立が続くことが予想される。TPP発効で安い輸入農産物の増加が予想される中、TPPの影響や農家の経営支援など焦点となる国内対策の議論が深まるかは微妙だ。

 「正々堂々、建設的な議論を展開した上で成立を期したい。全力を尽くす」。臨時国会が開幕した9月26日、安倍晋三首相は自民党役員会で強調した。この臨時国会を「アベノミクス加速国会」と位置付け、早期にTPP承認を実現させる意気込みをにじませた。

 TPPは昨年10月に参加国が大筋合意し、今年2月の署名で内容が確定した。各国の議会承認などの手続きを経て発効すれば、国内総生産(GDP)で世界の約4割を占める巨大経済圏が誕生する。

 TPPの発効は、署名から2年以内に全参加国が承認の国内手続きを終えることなどが条件で、18年春にも発効する可能性はある。だが米国をはじめとして手続きが遅れている国が目立ち、実際のめどは全く立っていない。

 TPPが発効すれば、日本が海外からの輸入にかけている関税は農林水産物や工業品を合わせて全体の95%で撤廃される。過去に結んだ通商協定でも前例のない撤廃率となる。農林水産物は82%の関税が最終的に撤廃される。消費者にとっては食材の輸入価格が下がる恩恵が見込まれる一方、海外の安い農産物の流入が拡大する懸念もあり、農家の不安は大きい。

 政府はTPPで日本の実質GDPが約13兆6千億円押し上げられる一方、農林水産物の生産減少額が約1300億~2100億円にとどまると試算する。協定案と併せ牛・豚肉の畜産農家の経営安定策を拡充するなどの関連法案も提出し理解を求めている。

 先の通常国会では、政府が交渉過程の資料を黒塗りで開示した問題や、西川公也元農相の著作を巡って審議が一時空転し、結局、承認を先送りした。国が管理する輸入米の入札で不透明な取引も発覚し、現在開催中の臨時国会では火消しを図る政府、与党と野党が対立している。

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