県行政書士会副会長 徳永浩

■親しみ感じる読者投稿 参加促す企画で活性化を

 新聞の中心的な役割は、報道にある。新聞の持つ複数の機能のうち、報道機能が第一義的なものであることに異論を挟む余地はないだろう。

 だが、新聞は報道のみを扱うのかと言われればそうではない。掲示板のような告知機能、文化行事やスポーツの試合結果を紹介する機能や社説による新聞社の考えを世に出す機能などもあり、実に複合的な機能を持つのが新聞という媒体である。

 こうした特徴を持つ新聞という媒体から、読者はさまざまに情報を得る一方、読者の側から新聞にアクセスすることもできる。それが、読者投稿といわれる分野だ。

 佐賀新聞が用意している読者投稿には短文による意見投稿コーナー「ひろば」、千字ほどで意見を主張する「私の主張」がある。また、日々の雑感を女性が書くと「手鏡」となり、男性が書くと「おとこの星座」になるなど、投稿者の性別でコーナーを分けるという工夫もみられる。

 こうした読者投稿の役割の一つは新聞と読者の間に双方向性を持たせることであり、それは一読者が一投稿者の文に等身大の親しみを感じる場の提供、ということでもある。

 いたたまれない事件や、先行きの不透明な経済情勢、政治にまつわる不適切な金銭の扱われ方など、暗く重たいニュースを読み進めている中に、ふと日常の出来事や思いをつづったエッセーが目に入ると、ほっとするものだ。

 そうしたエッセーを読み終え、ふと投稿者の名前を見てみると、「あぁ、あの人だ」と知人の顔が頭に浮かぶのも、地方紙ならではの楽しみであろう。

 投稿してから掲載されるまでには、半月からひと月ほどの時間差が生じる。例えば、9月1日付の「手鏡」は夫の初盆を終えた内容であり、同日付「おとこの星座」には、7月中旬に孫とスイカを楽しんだ思い出がつづられている。読み手としても、思い出しやすいひと月ほど前の事が書かれているので、何とはなしに最近を振り返ることができ、頭の中の整理に役立っている気にもなる。

 こうした読者投稿の効用ともいうべき良さは上述のようにいろいろとあるが、一方で、「ひろば」の投稿と、「手鏡」「おとこの星座」の違いは文字数だけなのでは、という疑問もある。また、投稿者が固定化してくるきらいも見受けられないではない。

 そこで、それぞれの投稿コーナーの概要説明や投稿未経験の読者に参加を促す企画など、投稿コーナーの風通しと活性化を今まで以上に図る方策が採られてもいいように思う。

 読者の発表の場としての地方紙。この役割の大切さは今後も変わらないであろう。「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」で有名な近江商人の三方良しになぞらえれば、投稿者・新聞社・読者は、それぞれ「書いて良し」「載せて良し」「読んで良し」となることを望みたい。

=9月分=(とくなが・ひろし、佐賀市)

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