避難所に屋内退避した住民に安定ヨウ素剤に見立てたあめ玉やゼリーを配布する伊万里市の担当職員(左)=伊万里市大坪町の大坪公民館

■幼児連れ「混乱しないか」

 30キロ圏内の避難住民を対象に、甲状腺被ばくを低減させる安定ヨウ素剤の配布訓練も初めて行った。屋内退避の避難所や移動するバスの中で、自治体職員が安定ヨウ素剤に見立てたあめ玉やゼリーを配り、服用を指示した。

 原子力規制庁の定める配布・服用の手順に沿って、原子力規制委員会の判断を受け、県から指示を受けた市町職員が避難者に配布した。

 伊万里市の大坪公民館には、家屋倒壊で屋内退避が不可能な5家族16人が一時避難した。市職員がヨウ素剤を保管するキャビネットから取り出し、大人にあめ玉、子どもにゼリーを配った。注意事項の書面をもとに「アレルギー反応のある人は返還を」「30分以内に過敏症が出る恐れがあるので体調の変化に注意を」と説明した。3歳と6カ月の娘を連れて参加した野村和也さん(30)一家は「子どもが小さいので、混乱なくヨウ素剤が配布できるのか気になる」と話し、マイカーで避難先に向かった。

 県内市町に安定ヨウ素剤の事前配布を訴える市民団体関係者も訓練を視察した。代表の石丸初美さん(65)は「副作用の危険性を事前配布しない理由にしてきたが、訓練は紙切れ1枚で注意事項を伝えるだけで説明は不十分。誰も服用の責任を取らない姿勢が見え、参加住民から『実際には飲まないと思う』という声も聞いた」と語り、改めて事前配布を主張した。

このエントリーをはてなブックマークに追加