訓練で避難用車両に乗り込むのを列を作って待つ要援護者役の人たち=東松浦郡玄海町の特別養護老人ホーム「玄海園」

■職員「人手足りない」

 玄海原発から直線で約2キロの位置にある特別養護老人ホーム「玄海園」では、屋内退避と緊急防護措置区域(UPZ、約30キロ圏)の外への避難訓練が行われた。施設の密閉など放射線防護の作業をしつつ、自力で歩けない「要援護者」の移送に当たった施設職員たちは、「これだけの作業を入所者より少ない職員だけでやるとなると、事故が起きれば人手が足りない」と不安の声を漏らした。

 玄海園の入所者は100人で、職員数は87人。保有する避難用車両5台では、1往復で入所者20人強しか移送できない。昨年4月に特養の入所要件が厳しくなり、現在35人の寝たきりの人の数は今後も増えると予想される。原発で過酷事故が起きても施設内にとどまる人は多いとみられ、屋内退避の練度を上げることが重要課題になっている。

 訓練では、職員が3階建ての全ての窓を閉め、全室の換気扇を停めた後、放射性物質を遮断するフィルター装置を作動させた。その後、車椅子や寝たきりの入所者役18人を、29人の職員がバスや自衛隊の救護車など5台で多久市と佐賀市の高齢者施設まで移送した。

 玄海園の山口泰・災害対策副本部長(47)は「緊張感を持ち、滞りなく進んだが、本来は一日かかっても終わらない作業を4時間に詰め込んでいるので省いた部分はたくさんある。屋内退避、入所者移送ともまだまだ課題は多い」と指摘した。

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