バスに乗り込むため、地震後の避難先となる玄海町役場を出る諸浦地区の住民=東松浦郡玄海町

■「まず安否確認、役場行かぬ」

 玄海原発から5~30キロ圏(UPZ)で、東松浦郡玄海町の役場周辺にあたる諸浦地区の住民は、震度6弱の地震と原子力の複合災害を想定し訓練した。経験のない「大地震」に戸惑いながらも、避難ルートの変更や安定ヨウ素剤服用などの手順を確認していた。

 午前9時すぎ、直前の地震で家屋が倒壊した想定の住民約40人が、玄海町役場に集まってきた。事前の周知もあり、全員が肌を出さないよう長袖と長ズボンを着用していた。

 姉と避難してきた松尾看那さん(21)は「地震が起きれば、まずはスマートフォンなどで家族の安否を確認すると思う。家が壊れても役場に行こうとは思わない」と話し、複合災害時の行動を再確認していた。安定ヨウ素剤に見立てたあめ玉が配られたが一人一人への説明はなく、持病がある80代女性は「私が飲んでいいのかどうか…」と戸惑っていた。

 福島第1原発事故を踏まえ県と玄海町は、放射性物質を極力浴びなくて済むよう、雨がっぱと手袋、マスクを準備した。原発から放射能漏れが確認されたとの想定で、避難するためにバスに乗り込む際は風が吹いていた。60代男性会社員は「風向きぐらい教えてもらわないと、放射性物質が飛んできているのかどうかが分からない」と苦言を呈した。

 避難計画にある道路が寸断された想定で、別ルートで小城市に向かった。主要な交差点では、防護服にゴーグル、マスク姿の警察官が誘導した。自家用車で避難した50代会社員男性は「遠くの避難所は行ったことがないので、バスについていかなければ迷っていた」と困惑した。

 諸浦地区の小山幸孝区長(65)は「玄海町民はひどい揺れを経験したことがないので、家がつぶれた想定よりも大雨の土砂災害の方が現実的だったと思う。ヨウ素剤の説明はもっときちんとしてほしかった」と注文した。

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