バスや鉄道会社が、自社路線を使うことで宅配大手の輸送網の一部を肩代わりして荷物を運ぶ連携を深めつつある。人口減などで乗客数が伸び悩む地方路線と、荷物を託すことで経営効率化につながる宅配業者との思惑が一致し、過疎地でこうした例が増加。今後も同様の取り組みが各地に広がる可能性がある。【共同】

▽サービス拡充

 「日本の隅々まで荷物を届けるサービスを維持したい。協力企業があればこの仕組みを広げたい」。公共交通機関が同じ乗り物で乗客と荷物を同時に運ぶ「貨客混載」の実績で先行するヤマト運輸の担当者はこう話す。

 ヤマト運輸は岩手県を皮切りに、宮崎県、北海道で地元のバス会社と相次いで協力。今月3日からは産交バス(熊本市)と提携し、熊本県内の人吉市と五木村を結ぶバス路線に荷物の一部を運んでもらうことになった。バスの利用で宅配便の運転手は、拠点から配達区域まで1日に何度も往復する必要がなくなり、ガソリン代などの負担が軽減。県内に同日中に配達できるようになったり、集荷の受付時間を延ばせたりするなどサービス拡充につながるという。

 2015年10月から宮崎交通(宮崎市)と始めた連携では、ロスが多い中山間地で宅配コスト引き下げに成功。今年6月には宮崎県の他の2路線にも導入が広がった。

▽穴埋め

 上越新幹線と接続し、北陸方面とを結ぶ特急列車が乗り入れていた北越急行(新潟県南魚沼市)のほくほく線。北陸新幹線の開業で特急列車が廃止になり、売上高が約9割減る中、何とか減収分を穴埋めしようと、佐川急便との提携を決めた。

 うらがわら(上越市)-六日町(南魚沼市)で17年春にサービスを始める。駅に引き取り用の宅配ボックスを設置することも検討し、利便性を高めて利用拡大を目指す。

 ただ、荷物の運搬で得られる収益は「乗客の輸送収入に比べるとわずか」といい、事業の柱に育てるには課題が残る。

▽運転手不足

 ヤマト運輸と佐川急便に日本郵便を加えた3社は、東京メトロや東武鉄道と組み、荷物を運ぶ実験を始めた。都市部の渋滞緩和につなげる狙いもあり、採用できるかどうかを探っている。

 運輸行政を担う国土交通省は貨客混載に関し「過疎地域で宅配サービスを維持するための一つの手段」(幹部)などと普及に肯定的だ。業界にはトラック運転手の不足が深刻化するとの懸念もくすぶる。物流の体制を見直し、より効率的に荷物を届けるための仕組みづくりが必要だとの認識は共有されつつあり、新たな選択肢となりそうだ。

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