「18歳選挙権」が初めて適用された7月の参院選に続き、佐賀県内では来年、唐津市と杵島郡白石町の首長・議員選(1月29日投開票)を皮切りに7市町の首長選、5市町の議員選が行われる。より身近な地方選挙であり、学校での主権者教育をはじめ、さまざまな取り組みを継続、改善しながら若い世代の関心を高めていきたい。

 参院選で新たな有権者となった全国の18、19歳の投票率は46・78%で、18歳が51・28%、19歳が42・30%だった。佐賀県は45・00%で、18歳が49・61%、19歳が40・02%。住民票を実家に残したまま進学や就職で都市圏に住み、投票に行かなかったケースなどがあるとみられ、全国的に都市部が高く、地方が低い傾向が表れた。

 佐賀県全体の投票率は56・69%で、18、19歳の投票率はこれを11・69ポイント下回った。ただ、これまでも若い世代の投票率が低い傾向にあったことや、19歳よりも18歳が10ポイント近く高かった点を考えると、各高校で取り組んだ主権者教育や新聞、テレビなどの報道・企画は関心を高める上で一定の効果があったとみていいのではないか。

 当然ながら、5割に届かない投票率は決して高いとは言えず、参院選を出発点として政治や選挙への関心をさらに高めていく努力が求められる。選挙権年齢の引き下げが契機となり、投票することを誰もが当然と受け止める社会にしていきたい。そして、最も重要なのは、選挙後も政治や政治家の動向に関心を持ち続ける「主権者」を育てることであり、参院選での取り組みが一過性に終わらないようにしたい。

 市町の選挙は国政選挙よりも身近で、論議される市政、町政の課題は暮らしに直結している。活発な政策論議が展開されれば、若い世代の関心も高まり、自分たちのまちのこれからを考える貴重な機会になる。

 だが、従来の地方選を見ていると、候補者名の連呼に終始する選挙戦も多く、そうなると政治に接する最初の段階から「政治離れ」を生むことになりかねない。政党のマニフェストなどがある国政選挙以上に、地方選の立候補者は自らの政策、主張をしっかりと訴えることを意識してほしい。

 主権者教育を実施する学校は身近なだけに、政治的中立性の確保により気を遣うだろう。候補者、支持者らとの地縁、血縁など身近さ故の問題も想定され、消極的になる恐れはあるが、そこで足踏みしては深まっていかない。

 主権者教育は選挙の仕組みを学び、候補者の主張を知ることだけが目的ではない。目指すのは自分で考え、判断する力を身に付けた「市民」の育成。公民など一つの教科にとどまらず、さまざまな教育活動を通して前進させていきたい。(大隈知彦)

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