鉄道は人々を運び、歴史を動かしてきた。日本初の鉄道が新橋-横浜間に開通したのが1872(明治5)年10月14日である。それにちなみ、あすは「鉄道の日」◆鉄道敷設を最初に訴えたのは大隈重信である。伊藤博文らと案を練り、構想は東京-神戸、米原-敦賀間だった。これには鍋島閑叟(かんそう)公、岩倉具視(ともみ)は賛成したが、反対も多く、陸海軍も軍事上から首を縦に振らなかった(『エピソード大隈重信』早稲田大学出版部)。紆余曲折(うよきょくせつ)を経て英国が資金と技術を援助し、開通にこぎつける◆全国の人心を一つにするには交通の不便を打ち砕くことが必要だと考えていた大隈。先見の明があったが、線路幅を国際標準より狭い「狭軌」にしたことは、後に悔いる。大正6(1917)年、佐賀駅での演説で「輸送力が大不足であるから鉄道が広軌になり…」と線路幅を広くする課題に触れている◆大隈は佐賀には3度帰り、いずれも思い入れのある汽車を利用した。明治29年は母の法要、大正2年は閑叟公の銅像除幕式、最後の大正6年は墓所改修が目的だった。駅に着くと、故郷佐賀の人々から大歓迎を受けている◆日本の発展を鉄道抜きには語れない。世界に冠たる新幹線を生み、超電動リニアの開業も控える。大隈以来の鉄道技術が、これからもこの国の、人と人を結ぶことだろう。(章)

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