合唱組曲「唐津」を披露した市民合唱団。ステージの最後、合唱指導者の永富啓子さん(中央左)が小泉和裕さんと客席に向かって指揮し、客席も一体となって歌声を響かせた=唐津市民会館

次代を担う子どもたちも歌声を響かせた

楽譜を見ながら「唐津市歌」を合唱した観客たち

ステージ正面には作詞、作曲した栗原一登さんと團伊玖磨さんの遺影が飾られた。左は実行委員会の竹尾啓助会長

指導者の永富さん(右から2人目)を囲み、記念撮影する出演者

 10日に唐津市民会館で開かれた合唱組曲「唐津」の初の演奏会は拍手と喝采の中、幕を下ろした。34年間眠っていた“唐津賛歌”を歌い上げたのは181人の市民合唱団。出演者らの思いや感想を写真グラフとともに振り返る。

 合唱指導をしてきた地元の音楽家・永富啓子さん(74)は客席で30分の熱唱に聞き入った。「みんなキラキラしていて充実した感じが伝わってきた」。歌い終え、拍手の中で登壇すると、1120人の観客に向かって九州交響楽団の小泉和裕音楽監督(66)と一緒に曲の一部の「唐津市歌」の大合唱を指揮し、達成感に包まれた。

 「練習が楽しかった」「みんなを引きつけていた」と団員が信頼を寄せ、素人が多い中、音楽性に磨きをかけてきた1年3カ月。打ち上げ会で永富さんは「皆さん、おめでとうございます」と団員の努力をねぎらった。

 ソプラノの山口ゆかりさん(41)=西城内=は唐津東高の音楽講師。「唐津市歌」の伴奏の録音を頼まれた経験があったが、合唱組曲の存在は知らなかった。唐津で音楽を教える身として「どうしても知りたい」と思い立った。

 歌われているのは唐津の情景に唐津焼、かんね話にくんち…。「郷土愛が全て盛り込まれて、唐津がいいなと実感できる曲」と評し、「九響のオケの音がきれいでぜいたくで、景色が見えるようでした」。母と娘の3世代で合唱団に参加し、家族の思い出にもなった。

 バスの藤口稔さん(64)=富士見町=は、かつて「第九」の合唱団に参加するも、体調を崩して途中リタイアした心残りがあった。「譜面も読めないけど、本邦初演で唐津の歌だから」と再び合唱熱に火が付き、本番では途中で感激して胸が詰まり、声が出ない箇所もあった。

 合唱組曲「唐津」は、戦後日本を代表する作曲家團(だん)伊玖磨と作詞家栗原一登のコンビで作られ、“兄弟”とも呼べる「北九州」「横須賀」は地元で毎年歌われているという。藤口さんは「1回だけではもったいない。第九のように恒例のイベントになれば」と受け継がれることを願った。

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