熊本地震を報じた熊本日日新聞の「まさか…」の見出しが、今も心に焼き付いている。熊本県阿蘇市の阿蘇神社は、拝殿と国の重要文化財の「楼門」が、膝を折ったかのようにつぶれた。その光景に絶句した記者の衝撃が、生々しく伝わってきた◆あの日から半年。「まさか…」「まさか…」の連鎖で、今度は阿蘇山が爆発的噴火を起こした。阿蘇神社を訪ねると、楼門や拝殿は降灰でくすみ、いよいよ無残な姿になっていた。被災地の復興はいまだ進んでいない。崩れた家屋は放置され、道路は寸断されたままだ◆復興のために、私たちにいったい何ができるだろう。立ち寄った道の駅で「あなたの楽しい旅が、なによりのエール」というチラシが目に飛び込んできた。被災地観光は、復興の邪魔になりはしないか、と二の足を踏みがちだが、被災地を訪れ、食べて、土産を買う。それが、ささやかでも復興支援につながるのだ◆土産物コーナーで「くまモン」のマスコットを見つけた。プラスチックかと思えば、阿蘇の火山灰を固めたのだという。しかも「くまもと阿蘇は元気だモン!」と吹き出しまで添えてある◆阿蘇神社の工事の囲いに、うっすらと何かが浮かび上がっている。誰かが汚れた灰を指先で拭き取った文字だった。「がんばるモン」「負けんモン」「立ち直るモンッ」-。(史)

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