住民からの要望書を唐津市議会の田中秀和議長(右)に報告する坂井俊之市長と岡本憲幸副市長(左)=唐津市議会

坂井市長宛ての「誘致反対」緊急要請書を読み上げ、秘書課に提出する玄海原発反対からつ事務所の北川浩一代表(右)=唐津市役所

 唐津市鎮西町串地区の住民から提出されていた使用済み核燃料の一時的な貯蔵施設を事実上誘致する要望書について唐津市は13日、市議会や県、九州電力に伝えた。佐賀新聞の報道で明るみになり、原発反対の市民団体は「断固拒否」を市に働き掛け、同じ串地区の住民からも驚きの声が聞かれた。

 串地区は九州電力玄海原発(東松浦郡玄海町)と入り江を挟んで隣接している。坂井俊之市長は報道陣に「対岸に原発があり、いろんな思いを持ち続けてきた地区。市として重く受け止めている。議会、県、九電といろんな議論をしなくてはいけない」と語り、報告を受けた田中秀和議長も「議会としてもしっかり検討していきたい」と答えた。

 坂井市長は来年1月の市長選への不出馬を表明しており、任期中に結論を出すことは否定した。要望書はこの日が議会閉会日だった市議全員にも渡され、県と九州電力には岡本憲幸副市長が電話で報告した。

 佐賀県の副島良彦副知事は「一義的には唐津市の受け止めが重要」と述べた。近く市から説明を受ける予定で、「どういう経緯で、どのような人が、どんな背景のもとに要望されたのかなど聞きたいと思っている。整理していただければ」と注文した。

 一方、市民団体はすぐさま反応した。「玄海原発反対からつ事務所」が市長と議長宛てに誘致反対の緊急要請書を提出した。「国の核燃料サイクル政策が破綻した今、中間貯蔵施設はそのまま半永久の貯蔵施設になる恐れがある」と北川浩一代表が要請書を読み上げた。今後はチラシを配布し、反対を訴えていく。

 要望書にある地権者約30人の署名は住民グループが個別に集めたもので、誘致自体は串地区の総意ではない。区の会合で話し合われたことはないといい、区長(62)は「新聞で見てびっくりした。今後、話が進めば、区として協議しないといけないだろう」と戸惑いを隠せなかった。

 地元が鎮西町の宮崎卓市議も当惑気味で「行政の線引きだけで恩恵に差があるのは『何で』との思いが前からあった地区」としつつ、「地区だけの問題ではない。民意があり、十分考えて対応しないといけない」と語った。

 仮に実現すれば、県内では玄海町だけだった原発施設が町外にもできることになる。岸本英雄町長は7日に成立した使用済み核燃料税条例を総務省に申請するために上京中で、鬼木茂信副町長は「事業者が計画をしている段階。状況を見守るしかないし、コメントすることはない」と冷静に受け止める。(取材班)

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=使用済み核燃料貯蔵施設=

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