昼休みに新聞を開き、地域のニュースなどを読む学生=佐賀市本庄町の佐賀大学附属図書館

 入り口そばに新聞各紙が並んでいた。佐賀市の佐賀大学本庄キャンパスの附属図書館は今年3月にリニューアル。開放的な1階の談話スペースに新聞コーナーがあるが、学生の多くはインターネットにつながるパソコンの前に座り、紙面を繰る学生は限られている。

 主要なニュースを、手元のスマートフォンでも確認する時代。多くの学生は就職活動のために、時事問題を取り上げる新聞を役立てている。

 農学部2年の竹谷千代恵さん(23)は近い将来の就活を意識して7月、大学主催の「新聞の読み方講座」に参加し、図書館で読むことが習慣になった。「スマホと違って、新聞はあまり関心のなかったニュースにも触れられる。知らないことがまだあることに気付かせてくれる」

 ただ、紙媒体を手に取る目的ははっきりしている。県外での就職を考えているといい、開くのは主に経済紙。読書は、電子書籍より紙の本を好むが、自己啓発本が中心だ。「自分の役に立つことじゃないと、紙の活字は読まないかも」と話し、「実益」重視だ。

 1960年代後半、このキャンパスで学んだOBは新聞との付き合い方が異なる。佐賀大出身で西九州大教授の前村晃さん(69)は「学生寮で毎日欠かさず読んでいた」と振り返る。

 国内外の動きや地元の出来事だけでなく、参加していた学生運動が世間にどう受け止められているのかも知りたかった。闘争の現場を取材する新聞記者の言葉にも直接、耳を傾けた。新聞は単なる媒体ではなく、社会との接点だった。

 美術教員として母校で教えた23年間、新聞を読む学生は減っていった。「今の学生は社会常識や知識が足りない。新聞と縁遠くなったことが関係しているのかもしれない」。分野や題材に関わらず、コラムや論説を繰り返し読むことが就活の作文対策にもなると、新聞のよさを伝えてきた。

 佐賀大では10月に後期の講義が始まり、図書館もにぎわいをみせている。

 文化教育学部3年の青木寿史さん(22)は、教育関係の記事を食い入るように見つめていた。教員採用試験に向けて知識を深めるのが目的で、卒業後の進路に関わる情報を選んで読んでいた。「物事を深く知りたいときは新聞がいいと思うけれど、政治の話とかが多いような気がして、取っ付きにくいところもある」。付き合う相手を知るほどあらが見えるのか、注文もつけた。

=新聞週間代表標語=

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