自民党で来年1月の衆院解散へ「待望論」が広がりつつある。衆院小選挙区定数の「0増6減」が見込まれる県に多くの現職を抱え、来年夏以降とされる区割り改定後は候補者調整の難航が避けられないためだ。しかし改定前の選挙だと2014年衆院選の「1票の格差」を違憲状態とした最高裁判決が置き去りとなる。野党は「ご都合主義だ」(民進党幹部)と自民党批判を強めている。

 「次期衆院選で公認を得られる確証はない。考えるだけで頭が痛い」。自民党議員の一人は候補者調整を避けたい心境を打ち明けた。

 改定案は衆院選挙区画定審議会(区割り審)が来年5月までに安倍晋三首相に勧告する段取り。その内容を反映して公選法を改正し、国民への周知期間を経て新たな区割りが適用されるのは来年夏以降とみられる。

 これに伴う小選挙区減は青森、岩手、三重、奈良、熊本、鹿児島の6県で実施される方向だ。自民党には6県で選挙区20人、比例復活5人の現職が在籍している。二階俊博幹事長は14日の記者会見で、区割り改定と首相の解散判断について「別々に考えるべきだ」と強調する一方、衆院解散は首相の「専権事項」との前提は崩さず、早期解散の可能性を否定しなかった。

 「6減」対象でない都道府県も人ごとではない。1票の格差是正を図るため、境界が変更される小選挙区は6県を含め「70から80」(下村博文幹事長代行)に上る見通しだ。地盤以外から票を掘り起こすのは容易でなく、ベテラン議員は「知名度が低い若手には特に脅威だ」と指摘した。

 公明党も年明け解散に前向きだ。来年夏の東京都議選に集中したいだけでなく、小選挙区の「0増6減」に合わせて実施される比例代表ブロック定数の「0増4減」で比例議席を減らしかねないからだ。党幹部は期待を込め「解散は来年早々しかない」と言い切った。

 これに対し野党側は、区割り見直し前の衆院解散・総選挙は認められないとの立場だ。民進党の蓮舫代表は、与党側の動きについて「不見識だ」と切り捨てた。社民党の吉田忠智党首は「違憲状態の中で解散していいのか。司法と立法府の意思を踏みにじるものだ」と強く非難。選挙準備が整わない野党側の苦しい事情も背景にある。【共同】

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