新潟県知事選で当選を決め、万歳する米山隆一氏=16日夜、新潟市中央区

 事実上の与野党対決となった16日投開票の新潟県知事選で与党系候補が敗れ、安倍政権に激震が走った。最大争点の新潟県の東京電力柏崎刈羽原発再稼働問題だけでなく、環太平洋連携協定(TPP)の国会審議の行方にも影響を与えるのは避けられない。来年1月の衆院解散が取り沙汰される中、安倍晋三首相の解散戦略を左右する可能性もある。勢いづく野党は「新潟ショック」を追い風に、政権に対し攻勢を強める考えだ。

 「大変厳しい結果だ。きちんと敗因分析しないと、今後痛い目に遭う」。自民党幹部は敗戦の報にうめいた。同党ベテラン議員は「一地方選の話だ」とうそぶき、影響拡大を食い止めようと躍起となった。

 選挙期間中、自民党は、二階俊博幹事長ら党幹部を相次ぎ投入。首相も「新潟任せにするな」と指示を飛ばし、党本部直轄で支援態勢を組んだ。これに対し共産、自由、社民の3党も推薦した野党系候補を強力に後押し。民進党の蓮舫代表が最終的に応援に入り、与野党の総力戦となった。

 自民党の別の幹部は、原発再稼働問題を材料にした野党系候補の攻勢で「苦戦を強いられた」と明かす。党関係者は「政権の高支持率が票に結びつかない。地方で見えない地殻変動が起きているのかもしれない」と分析した。

 敗北で最もあおりを受けそうなのは、国会で与野党の激しい攻防が続くTPP審議だ。自民党閣僚経験者は「新潟は農業が盛んな県だけに、安倍政権の農政への不信が強い証拠だと野党から攻め立てられる」と警戒する。国対幹部も「与党ペースの国会運営が崩れかねない」と身構えた。

 首相による衆院解散戦略にも微妙に影を落としそうだ。安倍政権は2014年7月の滋賀県知事選、15年1月の佐賀県知事選など、地方選で苦杯をなめたケースが少なくない。「衆院では選挙基盤が脆弱(ぜいじゃく)な当選1、2回の議員が多い。それが地方選の苦しい戦いにつながっている面がある」(自民党関係者)との見方は少なくない。

 今年7月の参院選でも全国32ある改選1人区を巡り、甲信越や東北で取りこぼしが目立ち、13年参院選の29勝2敗から21勝11敗と巻き返された。

 自民党筋は「2年を過ぎて解散の時期を考えない首相はいない。首相は、党が地方で弱体化していると不安視している」と指摘。「今回の敗戦で、難しい見極めを迫られるかもしれない」と首相の胸の内を推し量った。

 一方、野党は政権への攻撃を強める方針だ。共産党の穀田恵二国対委員長は共同通信の取材に「(次期衆院選をにらみ)野党共闘に取り組む。新潟の勢いを大切にしたい」と強調した。

 ただ原発推進を掲げる地元の電力総連を傘下に持つ連合新潟が与党系候補の支援に回っており、選挙総括を巡り曲折も予想される。【共同】

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