◆月内の成案不透明

 国営諫早湾干拓訴訟の和解協議に関連し、国と有明海沿岸4県、各漁協・漁連が議論している基金案について国は、佐賀県関係国会議員の質問主意書に対する答弁書で「(開門しない前提の)和解勧告に沿って示したもの」と説明し、和解協議と切り離して議論をしているとの認識を示す佐賀県や漁協側とのずれが浮かび上がった。国は和解協議との関連を明確に説明しておらず、10月中を目指す基金案の成案がまとまるかどうかは不透明な状況だ。

 質問主意書は、民進党の大串博志衆院議員が提出した。長崎地裁の和解勧告に沿って国が示している基金案は開門をしないことが前提になっているが、4県や漁協・漁連などで構成する有明海漁場環境改善連絡協議会では現在、開門の是非に触れずに基金案の議論が続いている。

 主意書では協議会で議論している基金案に関し「成案が得られた場合は実施するのか」「和解協議の帰趨(きすう)と関係なく実施することを明らかにすべき」などと質問した。答弁書で国は「長崎地裁の(開門しない前提の)和解勧告に従って提案したもの」と述べ、関係者にも説明しているとして明確にしなかった。

 基金案を受け入れなければ従来の有明海再生予算を削減するような説明を漁協側にしたかどうかは、「事実はない」と否定した。和解協議が不成立の場合に再生予算を削る可能性を尋ねると、「予算編成過程で検討することになり、お答えすることは困難」とした。

 大串議員は「誠意がない」と批判し、和解協議の漁業者側弁護団とも相談して再質問を検討する。馬奈木昭雄弁護団長は「全くのゼロ回答。答えられないということは(協議会という)場外でごまかして基金案を作り、外堀を埋めて漁業者を黙らせようとしている」と語気を強め、開門を求める姿勢を改めて示した。

 佐賀、福岡、熊本の3県と各漁協・漁連は、漁業不振の原因究明に向けた開門調査を求めている。

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