勤続50年になる北原さん(右)は「体力が続く限り、経験を伝えたい」と荷積み作業などで若手の指南役を務めている=佐賀市諸富町の陣内運送

長く働き続けられる職場環境づくりを進め、厚労大臣表彰を受けた陣内運送の陣内正明社長(左)と同社最高齢の北原重信さん=佐賀市諸富町

 高齢でも働ける職場づくりを進めている事業者を顕彰する国の「高年齢者雇用開発コンテスト」で、佐賀市諸富町の陣内運送(陣内正明社長)が厚生労働大臣表彰(特別賞)を受けた。人手不足や荷受量の減少を克服するため、定年制を撤廃して倉庫業などに事業を拡大。ベテラン社員がノウハウを生かせる職場を広げ、経営の多角化につなげている。

 同社の社員29人のうち、60歳以上は7人。最高齢は勤続50年になる69歳の北原重信さんで、ドライバーの運行管理や荷受け手続きなどの内勤業務を担っている。積み込み作業で若手の指南役も務めており、「体力が続く限り、経験を伝えたい」と意欲的だ。

 一律60歳としていた定年制は8年前に廃止した。長時間労働のイメージが強い運転手を中心に、人材確保が難しくなり、社員の高齢化も進んできたためだ。

 消費低迷などで主力の家具メーカーからの受注が減る中、伸長する通販業者などから荷物を預かり、検品やこん包を行う倉庫業の部門を新たに立ち上げた。全国に配達網を持つ強みを生かして受注を伸ばしており、体力面などで運転勤務が困難になった高齢社員が事務作業に当たっている。

 基本的には60歳以上もフルタイム(8時間)だが、短時間勤務も認めている。ドライバーを長く続けられるように、運転時間などが確認できるシステムを全車に導入。休憩時間の確保や作業量を低減するための指導に役立てている。

 創業53年で、陣内社長は「先代の父のときから長く務めてきた人も多く、その経験や知識は会社の財産。健康な限り仕事を続けてほしい」と語る。10年ほど前に始めた遺品整理代行サービスでもベテラン社員がこん包技術などを指導する。

 コンテストは、厚労省と高齢・障害・求職者雇用支援機構が主催。県内からはこのほか、佐賀市で特別養護老人ホームを運営する凌友会(凌俊朗理事長)が同機構理事長表彰を受けた。60歳以上が全職員約200人の2割を占め、現場目線の職場改善プロジェクトに高齢社員も参加していることや、生涯現役で働ける環境整備に努めていることが評価された。

このエントリーをはてなブックマークに追加