醪(もろみ)管理のためタンク内に櫂(かい)を入れる井上満さん=有田町の松尾酒造場

酒造り歴50年。肥前杜氏の井上満さん

 石川県能登半島出身の日本酒造りの職人集団「能登杜氏(とうじ)」の日常を追ったドキュメンタリー映画「一献の系譜」が22日、唐津市肥前町で上映される。肥前町は能登と同様、「肥前杜氏」を輩出する地。酒造りにかける同業者への共鳴が、ベテラン肥前杜氏を自主上映に駆り立てた。

 主催団体は酒造り歴50年の井上満さん(65)が組合長を務める肥前町酒造従業員組合。酒造職人の長である杜氏が5人、蔵人が25人。それぞれ漁業や農業を家業としながら、農閑期の12月から4月まで県内外の蔵元で酒造りに従事する。

 井上さんは昨年、映画完成を知り、福岡市の映画館に問い合わせたが、上映の予定はなし。自主上映しようにも、ノウハウはもちろん資金もない。そんな時、自宅に回ってきた市の回覧板で「市民協働のまちづくり交付金事業」を知り、上映会開催を思い立った。

 映画は石井かほり監督作品で、現在の吟醸酒の礎を築いた「能登杜氏四天王」が主人公。半年間、家族と離れ、一日も休みがなく、寒く、朝も早い、厳しい環境の中で技を極めた名人と、その流儀を受け継ぐ現役、後輩杜氏の姿を描く。

 井上さんは作品をまだ見ていない。でも「チラシの文言を読んだだけ」で感動したという。「酒造りの技術が確立され、機械でできる時代になったが、人の手によってしか生まれない味わいがある」と言い「日本酒が見直されているが、高度成長時代は国際化の波で次々と蔵元が廃業していった。無念と失意のうちに辞めていった杜氏たちの思いも伝わるはず」と語る。

 上映は納所農漁民センターを会場に、22日午後3時と同7時半からの2回で、料金は500円。電話0955(54)1361。

このエントリーをはてなブックマークに追加