歌舞伎座土産処での販売を機に「幡随院長兵衛を広く知ってもらうためにも、日本を代表する銘柄に」と語る古川茂店主=佐賀市高木瀬町の古川商店

 中村橋之助さんの八代目中村芝翫(しかん)襲名を披露する歌舞伎座(東京都中央区)の芸術祭十月大歌舞伎で「極付幡随長兵衛(きわめつきばんずいちょうべえ)」の演目があるのに合わせ、佐賀市高木瀬町の古川商店(古川茂店主)が手掛ける清酒「幡随院長兵衛」が歌舞伎座1階の土産処「木挽町」で販売されている。古川店主は「思いがけない話が飛び込んできて驚いたが、広く知ってもらう絶好の機会」と話している。

 幡随院長兵衛は江戸前期の1614年、唐津市相知町久保に生まれた。侠客の総元締として、わが身をなげうって町人を守った江戸庶民の英雄として知られる。

 母方の家系が血筋を引いていることを知った古川さんは16年前、「“弱きを助け、強きをくじく”長兵衛の精神を郷土の誇りとして継承したい」との思いで商品を企画。「味で長兵衛の人となりを表現したい」と信頼の置ける蔵元に製造を依頼し、すっきりとしてキレがある味わいに仕上げた。

 9月15日、古川さんのもとに土産処を運営する「歌舞伎座サービス」(東京都)から突然電話が入った。「どのように巡り巡ったのか想像もつかないが、この酒に関わった全ての方々のおかげ」。急きょ普段販売していない500mlの瓶と特別ラベルを調達し、初演の10月2日までに間に合わせた。土産処には1100円で並んでいる。

 「自然と涙があふれた」と、初めて歌舞伎座で「幡随長兵衛」を観劇した時の感動は今でも忘れないという古川さん。公演は26日に千秋楽を迎える。今後も「幡随長兵衛」の演目があるときは販売される予定で、「長兵衛を知ってもらうためにも日本を代表する銘柄に育てたい」と今回の“上京”を糧にするつもりだ。

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