訪日客を意識した百貨店の売り場=19日、東京都中央区の日本橋高島屋

 観光庁は19日、7~9月の訪日外国人旅行者の消費額は9717億円で、前年同期比2・9%減だったと発表した。前年同期を下回るのは、2011年10~12月期以来、4年9カ月ぶり。昨年に比べ為替が大きく円高に振れ、中国や香港の旅行者が家電製品やブランド品を購入する「爆買い」が沈静化したためだ。訪日客の行動は都市部中心の買い物から、自然や伝統文化を楽しむ体験型観光へ重点が移っており、地方の観光地には好機となりそうだ。

 9月の訪日客数は前年同月比19・0%増の推計191万8千人で、9月として過去最高。1~9月の累計は1797万8千人となった。消費額は減ったが、訪日客数は増加が続いており、観光庁の田村明比古長官は記者会見で、初の年間2千万人に「遅くとも11月初旬には達する」との見方を明らかにした。

 消費額を使い道別で見ると、「買い物代」が前年同期比17・0%減の3354億円に縮小。一方で「宿泊料金」は7・1%増の2792億円、「飲食費」は11・1%増の2047億円と拡大し、買い物以外へのシフトを示した。

 1人当たりの消費額は17・1%減の15万5133円。売れ筋が高額品から消耗品に移っており、都市部の百貨店などに大きな打撃となっている。

 政府は20年に訪日客の年間消費額を8兆円にする目標を掲げている。田村氏は「達成不可能な数字ではないが、官民がいろんな努力を全国各地でやらなければ消費額は増えない」と話した。日本でしか購入できない商品のPRや、観光地にできるだけ長く滞在してもらう工夫が必要となる。

 訪日客の消費額は、東日本大震災の影響で11年4~6月期から3四半期連続で前年を割ったが、12年からは訪日客数の増加や円安の進行に伴い前年同期を上回る状態が続いていた。【共同】

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