発想は、まさに見学したビール工場の光景だったという。ベルトコンベヤーの上を瓶が流れ、ビールが次々と注ぎ込まれていく。目が釘付けになった。そこから寿司を回すことを思いつく◆日本初の回転寿司は大阪から生まれた。1958(昭和33)年、元禄産業の「廻(まわ)る元禄寿司1号店」だ。いまや、その食文化は世界へと広がる。大阪発祥の商品や商売は数多い。即席ラーメンにレトルト食品、スーパーマーケット、プレハブ住宅もそうだ(井上理津子著『はじまりは大阪にあり!』)。「おもろい」アイデアに食いつき、人間力と町の力で形にする。東京にはないバイタリティー、いや、東京への対抗心があるのだろうか◆大阪府が2025年に万博の開催を目指し、政府も検討を始めた。松井一郎知事は東京一極集中から大阪も核にする「二極化」を唱え、万博をその呼び水にと思いを巡らす。臨海部が舞台になる◆高度成長期、70年の大阪万博は岡本太郎作の太陽の塔をシンボルに、子ども心にも強烈な印象を残した。夢よ再びには、多くの費用がかかり、地元経済界も及び腰だ。「健康と長寿」のテーマを若者にもマッチさせ、いかに取り込むかが鍵となろう◆大阪の精神、「人のやらんことをやる」で成し遂げ、新たに何を産み落とせるか。まずは地道な計画づくりから始まる。(章)

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