串地区の住民グループが要望書を提出し、一転取り下げた経過について、県に説明する唐津市の秋山剛輝総務部副部長(右)=佐賀県庁

 原発の使用済み核燃料を一時的に貯蔵する施設の建設に協力する意向を示していた唐津市鎮西町串地区の住民が、一転して要望書を取り下げるまでの経過について唐津市は21日、佐賀県に説明した。市議会と九州電力にも要望書の取り下げを報告し、耕作放棄地の拡大や高齢化などの地域課題は受け止めつつ、貯蔵施設建設の要望は白紙に戻ったとの認識を示した。

 県庁を訪れた唐津市の秋山剛輝総務部副部長は、串地区の住民が要望書の提出に至った背景を、「対岸に玄海原発があり、行政区の線引きだけで差があるとの思いが以前からあった」「高齢化で耕作放棄地が増え、有効活用したいとの思いだった」と述べた。

 取り下げ理由では「地域の会合で反対意見があり、現時点では時期尚早とのことだったと聞いている」と語った。原発関連施設と切り離した地域振興に触れ「具体的には決まっていないが今回の背景に留意し、市としても対応していく」との方針を示した。

 応対した県新エネルギー産業課の山下宗人課長は、要望書の取り下げで貯蔵施設の誘致はなくなったとの認識を示し、「荒廃地の拡大や高齢化の中で地域の将来を考えたとき、署名して押印までもらうのは、よほどの心配があったと思う。引き続き地域の思いをどうしていくのか、市の担当部署で情報共有していただき、県に相談があれば関係課につなぎたい」と応じた。

 要望書を巡っては、串地区の地権者30人以上が「(九電など事業者から)設置計画の要望があれば、協力の準備ができている」との内容で署名・押印し、8月上旬に唐津市に提出していた。10月13日の報道以降、地権者以外の住民から反対の声も上がり、代表が19日付で取り下げた。

 玄海原発の使用済み核燃料プールには現在、約1900体が貯蔵されている。国の審査が最終盤にある3、4号機が再稼働すれば4~5年程度で満杯になる見通し。九電は、特殊な金属容器に使用済み核燃料を入れ、空気の流れで冷やす乾式貯蔵施設の建設を敷地内外で検討している。

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