山口隆敏町長

澤野善文編集局長

■夢持った若者を支援

 町民目線大切、心豊かに

 伝統産業有田焼の誕生400年に沸く有田町。ただ、有田焼の販売額は最盛期の7分の1にまで落ち込み、窯業と並ぶ基幹産業の農業も、後継者不足が課題となっている。人口減少も続く中、活力ある町づくりをどう進めるか。山口隆敏町長に聞いた。(聞き手=澤野善文編集局長)

 -節目の年を迎えた有田焼だが、構造不況を脱し切れていない。

 山口 有田焼は分業制で発展し、窯元商社だけでなく、関連の業種を含めて多くの人が従事している。町としても支援が必要と考える。町内には生産から流通まで独自に行う大手から、家族でやっているところ、人間国宝の井上萬二さん、今泉今右衛門さんに代表される陶芸作家もいる。それぞれに将来のビジョンも違う。業界が何を求めているかを的確に判断したい。

 -佐賀県が進める海外での再ブランド化や、町が全国の百貨店で開催する巡回展など取り組みの成果は。

 山口 成果が出るのはこれから。参加した人が新しい挑戦で得た有形無形の財産を今後に生かさなければならない。世界ナンバーワン、オンリーワンのビジネスモデル作りを応援していく。

 -佐賀、長崎両県の8市町が「肥前窯業圏」として世界遺産に登録された。観光振興にどう生かすか。

 山口 有田の誇りは重要伝統的建造物群保存地区に指定された内山地区の町並みと、生活の中で息づいてきた伝統工芸。逸品を持つ民家も多い。歴史ある建物とともにそんなお宝を展示する「まちなか博物館・美術館」を構想している。窯業圏の各市町がそれぞれの自慢を磨き、連携して点と点を面にしていくことが広域の観光振興につながる。

 -農業を取り巻く環境が厳しさを増す中、新たな特産品作りにも意欲を見せている。

 山口 環太平洋連携協定(TPP)の行方を注視している。発効後はこれまで以上に、効率化や収益性の高い商品作りが重要になる。町では特産品プロジェクトを立ち上げ、有田の特性の中山間地に適した作物の試験栽培をしている。「健康と美容」をテーマに、棚田米やキンカンに続く名産品を生み出したい。

 -人口減少が続く中、移住定住策に力を注いでいる。来年からは佐賀大学芸術地域デザイン学部の有田キャンパスも動き出す。

 山口 移住定住促進に必要な道路、学校、病院などの社会資本整備は一定の成果がある。今後は町の魅力をどう発信するかが重要となる。学生にとっても、県立九州陶磁文化館などの展示施設があり、窯元、作家が多くいる有田は、焼き物を学ぶには最高の場所。夢を持った若い世代を応援していきたい。

 -町の将来像をどう描いているか。

 山口 産業が発展し、住む人が生き生きと笑顔で生活できる町が理想。そんな町になれば、訪れた人たちも心豊かになる。町民目線を大切にし、安心安全で人間らしい生活ができる町を築きたい。

=わがまち未来形= =移動編集局 有田=

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