歳末パトロールの出発式で「町の安全安心を守るため、力を合わせて見守りを続けよう」と呼び掛ける福島日人士会長=2015年12月、伊万里署有田幹部派出所

声を掛けながら登校中の小学生と一緒に歩く「見守り隊」のメンバー=有田町の大山小近く

■安心安全町全域に

 児童登校、高齢者声掛けも

 そろいの緑のジャンパーや黄色のベストを着用し、横断歩道を渡るための小旗を手にした大人に連れられ、子どもたちが次々に小学校の校門をくぐる。有田町の朝の見慣れた光景だ。横断歩道や車が行き交う細い路地など、要所要所にも子どもたちを見守る大人が立ち、「おはよう」と声を掛ける。

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 有田町のほとんどの地区に「見守り隊」が組織され、熱心に活動を続けている。現在、19団体。町内の通学路のほぼすべてをカバーしているという。メンバーは定年退職後の元会社員らリタイア組がほとんどで、約400人が加盟している。

 各地区の見守り隊でつくる「陶都有田自主防犯ボランティア団体連合会」の福島日人士会長(72)は「安心安全な町づくりには、住民の協力が不可欠。できることで協力していきたい」と話す。登校を毎日見守り、声を掛ける中で、地区の子どもたちの顔が分かるようになったという。

 「以前は地区の大人が、子どもたちの顔を知っていて、よく声を掛けてくれた。都会ほどではないにしても、有田もだんだん近所の人に無関心になる傾向があった」。福島さんは個人の生活を大切にする風潮の中で、世代間の断絶が広がり地域のつながりが消えつつあったことを指摘する。

 子どもたちが入っている部活などを知り、「頑張っているな」「元気ないぞ、朝飯食ったか」と声を掛けるようになった。「顔見知りになって、道で会ったらあいさつをされることがある」と目を細める。

 町内で見守り隊が誕生したのは12年前。6区(旧8区)が最初だった。きっかけは小学生への声掛け事案があったことだった。

 当時、通学路の見守りをするボランティア団体は全国的にも数少なかった。警察庁のホームページで大々的に紹介され、各地から活動内容の問い合わせが相次いだ。結成当初からのメンバーで、連合会副会長の林大捷(ひろかつ)さん(77)は「なんとかしないと、子どもたちが危ないという思いだけだった」と振り返る。

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 朝は登校を見守り、午後は大型スーパーの駐車場などを巡回する。地区によっては、拍子木を持って夜回りする隊もある。さらに「おれおれ詐欺」などさまざまな事件が続き、今ではお年寄りへの声掛けも重要な役割だ。

 林さんは「どの家が高齢者の一人暮らしで、どこが空き家かなど、地元だから分かることがある。行政には難しいきめ細かさがある」と胸を張る。ごみ出しを手伝ったり、戸締まりを確認し、地域でともに暮らしていく。警察と協力し、年末のパトロールや交通安全運動にも参加。定期的に情報交換し、犯罪や事故の情報を共有する。

 課題はメンバー自身の高齢化。「老人会などで参加を呼び掛けても、なかなか集まらない。現役世代は時間の確保が難しい」と頭を抱える。それでも「安心安全を守るのは地域の目と気持ち」。暑い日も寒い日も、通学路に立ち続ける。

=わがまち未来形= =移動編集局 有田=

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