吉木直子さんの遺歌集「春の波紋」を出版した夫の安之さん

 「コスモス」や「百合の木」など県内外の短歌結社で活動し、8年前に亡くなった吉木直子さん=享年68歳=の遺歌集「春の波紋」が出版された。七回忌の節目に夫安之さん(81)=福岡県小郡市=が、6年間詠みためた直子さんの短歌を集め、「苦労をかけた感謝の気持ち」と短歌仲間とともに直子さんをしのぶ。

 直子さんは1942年、旧満州に生まれ、日本に引き揚げてからは佐賀市や福岡市を転々とした。佐賀市在住中にはグリーンコープ生協さがの創立に関わり、初代理事長を務めた。

 短歌に目覚めたのは62歳のころ、武雄市の短歌会「芽子(はぎ)の会」に入会してから。全国組織の「コスモス」などの短歌結社にも所属し、積極的に歌を詠んだ。ともに活動し、県文学賞の審査員も務める今泉洋子さん=佐賀市=は「コスモスでは人より早く昇級するなど熱心で才能もあった」と直子さんの歌を評価する。

 安之さんは出版を思い立ってから、直子さんの歌を歌誌や佐賀新聞読者文芸の入選句などから集めた。その中には、安之さんの姿も見える。

 <電話にて/オール電化の甘誘に/価格を聞かず/夫契約す>

には、思わず苦笑がもれる。

 <君の背を/視つつ歩みし/桜開く/西海橋の/青春の一日>

には、在りし日の思い出が胸にこみ上げる。

 短歌を詠み始めて、わずか6年で病に倒れた直子さん。残された歌には「思い出がつまっている」と安之さんは笑顔で振り返る。遺歌集への問い合わせは、安之さん、電話0942(75)2150。

このエントリーをはてなブックマークに追加